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どっちを使う?AI Builderモデルとプロンプトの違い

この記事の重要ポイント
- AI Builderは、専門知識なしでAIを業務に組み込めるMicrosoftのノーコードサービスです。
- 「AIモデル」は定型業務が得意な職人、「AIプロンプト」は生成AIを活用した柔軟なアシスタントです。
こんにちは
DXソリューション営業本部の伊藤です!
本ブログでは、Power PlatformのAI活用機能である「AI Builder」について、基礎から解説します。
特に、最近注目されている「AIプロンプト(生成AI)」と、従来の「AIモデル」の違いについて、初学者の方にも分かりやすく整理しました。
AI Builderとは?
AI Builderは、Microsoft Power Platform(Power AppsやPower Automate)の中で利用できるノーコードのAIサービスです。
プログラミングやデータサイエンスの高度な専門知識がなくても、マウス操作で簡単にAI機能をビジネスプロセスに組み込むことができます。
AI Builderには、大きく分けて「AIモデル」と「AIプロンプト」の2つがあります。これらを正しく理解し使い分けることで、業務自動化の幅がぐっと広がります。

「AIモデル」:特定の仕事が得意な専門家
「AIモデル」は、あらかじめ決められた特定のタスクをこなすための機能です。
これには、Microsoftが用意した「事前構築済みモデル」と、自社データで学習させる「カスタムモデル」の2種類があります。
事前構築済みモデル(すぐに使える)
設定なしで即座に利用できるモデルです。
学習データを用意する必要がないため、導入のハードルが非常に低いのが特徴です。
- 名刺リーダー:名刺から名前や連絡先を抽出します
- 感情分析:テキストが肯定的か否定的かを判定します
- レシート/請求書処理:領収書や請求書から金額や日付を自動抽出します

カスタムモデル(専用に育てる)
自社の特定の書類や画像を使ってトレーニング(学習)するモデルです。
独自のフォーマットに対応させたい場合に有効です。
- ドキュメント処理:自社独自のフォーマットの請求書などから情報を抽出します
- 物体検出:画像の中にある特定の製品や部品をカウント・識別します
- 予測モデル:過去のデータパターンから「どのようなフォローが必要か」などの未来を予測します

「AIプロンプト」:何でもこなす汎用的なAI
「AIプロンプト」は、ChatGPTのような生成AI(GPTモデル)をPower Platform内で直接呼び出す機能です。
特定のタスクに縛られず、自然言語での指示によって多様な業務をこなします。
主な特徴
- 自由な指示:文章で「要約して」「返信メールを作って」と指示するだけで回答を得られます
※プロンプトにもテンプレートとして事前構築済みのものを使用することが可能です - 構造化出力(JSON):AIの回答を特定のデータ形式(JSON)で返せるため、後続のPower Automateフローなどで「日付」や「金額」として扱いやすくなりました
- プロンプト ビルダー:プロンプトの作成、テスト、デプロイを行うための専用インターフェースが用意されています

徹底比較:モデル vs プロンプト
それぞれの強みを理解して使い分けるのが成功のコツです。
以下の表に、それぞれの特徴と得意分野をまとめました。
| 特徴 | AIモデル | AIプロンプト |
|---|---|---|
| 得意なこと | データの抽出、物体検知、予測 | 要約、文章生成、分類、翻訳 |
| 学習 | カスタムモデルの場合は必要 | 学習不要。指示(プロンプト)のみでOK |
| データ形式 | 構造化された文書や画像に強い | 自由な形式のテキスト(非定型)に強い |
| 主な用途例 | 請求書の読み取り、在庫カウント | 問い合わせの要約、返信文の作成 |
使い分けのヒント:
「決まった場所から値を抜き出したい」場合はドキュメント処理モデルなどが適しています。
一方で、「届いたメールの内容を理解して要約したり、分類したりしたい」といった曖昧さを含むタスクにはAIプロンプトが最適です。
よくある質問
Q. AIプロンプトとChatGPTは何が違うのですか?
基本技術は同じGPTモデルを使用していますが、AI Builderのプロンプト機能は、Power Platform(社内データや業務フロー)と安全かつシームレスに連携できる点が大きな違いです。
Q. 初めてAI Builderを使用する人はどちらから知識を身につければよいか?
初めて触る方におすすめするのは【プロンプト】になります。
こちらの理由といたしましては、1から作成者の意図に合わせて自由な返答をカスタマイズできるからです。
本ブログでは紹介しておりませんが、プロンプトの設定において『Temperature』を0~1の間でカスタマイズすることによって返答に独自性・創造性を持たせることも可能です。
プロンプトの作成方法については、以下2つのブログ記事をご確認ください。
一方で【AIモデル】はプロンプトの使用方法や活用するメリットを認識していただいた後に、請求書や郵送状などフォーマット化されたドキュメントからのDataverseやSharePointへ情報登録させるなどのシステム置き換えを検討する際に触っていただけるとよいと思います。
モデルの作成方法については、以下ブログ記事をご確認ください。
まとめ
AI Builderのモデルは「定型的な作業を正確にこなす職人」、プロンプトは「言葉を理解して柔軟に応対するアシスタント」のような存在です。
これらを道具箱のツールのように使い分けることで、あなたの業務は驚くほどスマートになります。
まずは「この作業、AIに任せられないかな?」と考えるところからスタートしましょう!
また、QESでは、Power Platform導入時の支援から、アプリケーション開発、導入後の保守サポートまで対応しています。
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