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脱・掲示板!社員が「毎日見たくなる」SharePoint社内ポータルの作り方

はじめに
こんなお悩みありませんか?
- 社内ポータルを作ってみたいけど、何を使って作ったらいいのかわからない
- 社内ポータルがただの「リンク集」になっている
- 「どこに何があるかわからない」と社員に言われてしまった
- デザインが古臭く、誰も見てくれない
こんにちは!DXソリューション営業本部の廣川です。
リモートワークが働き方の選択肢として定着した今、社内ポータルは単なる「掲示板」から、社員をつなぐ「デジタルの本社ビル」へと役割を変えています。
お客様に見せる社外用のサイトは外注して勿論お洒落に作ったけれど、社内向けサイトは気を抜けば、文字がびっしり詰まったポータルサイトになりがち…。
今回はそういったお悩み解決のヒントになればと思い、
① SharePoint Onlineでの社内ポータル作成について
② 「社員がみたくなる」「使いやすい」ポータルサイトを作るには?
本編では上記の観点から執筆していきます!
馴染み深いSharePoint、実はサイトも作れます!
「社内ポータルを新しくしたい」と考えたとき、世の中には便利なCMSや専用ツールがたくさんあって、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。
もちろん、そういった専用ツールも素晴らしいのですが、灯台下暗しと言いますか……実は、皆さんが普段使い慣れ、よく目にしている SharePointでも、モダンで使いやすいサイトが作れることをご存知でしょうか?
もしすでに Microsoft 365 を導入されているなら、この環境を使ってみない手はありません。
▼ SharePoint Onlineから標準で選択できるテンプレートの一例

今あるライセンスで始められる、という魅力
まず一番にお伝えしたいのが、やはりコストパフォーマンスの良さです。
SharePoint Online(以下SPO)は、多くの Microsoft 365 プランに含まれています。つまり、ポータルサイトを作るために、新しいツールの契約や追加のライセンス費用をかける必要がないのです。
「予算の確保」は、新しいプロジェクトを始めるときに一番高いハードルになりがちです。SPOなら、「今ある契約」の中で完結できるため、スモールスタートをお考えの企業様にとっても、非常に優しい選択肢になります。
マウス操作だけで、直感的に作れます
「でも、SharePointって設定が難しそう……」「標準機能だけだと、デザインがイマイチなんじゃ?」
そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ですが、現在のSPO(モダンサイト)は大きく進化しています。
HTMLなどの専門的なコードを書く必要はなく、マウス操作(GUI)だけで、直感的に写真やテキストを配置して、見やすいサイトを作ることが可能です。
実際、私が現在担当させていただいているグローバル企業のプロジェクトでも、お客様と「社員の皆さんが毎日使いたくなるようなデザイン」にこだわりながら構築を進めていますが、ほとんどSPOの標準機能だけを使用しています。
高価なアドオン(追加機能)を入れなくても、標準機能の組み合わせと少しの工夫で、十分に魅力的で使いやすいポータルは作れます。
▼ 作ろうと思えば、標準機能だけでここまでできます。
「見せたい情報」を、安全に届ける
全社員に見てもらいたいお知らせもあれば、特定の部署や役職の方だけに共有したい情報もあるかと思います。
SPOには「表示に権限フィルター(セキュリティ トリミング)」をかける機能が標準で備わっています。
例えば「人事部社員のユーザーアカウントにだけ『新規アカウント作成』の申請ページリンクを表示したい」といったシナリオでは、下記スクリーンショットのように、右のフィルターから人事部社員のアカウントを設定することで指定されたユーザーのみにリンクが表示されます。
(指定されていないユーザーには表示されません)
・指定されたユーザーからの見え方
・指定されていないユーザーからの見え方
このようにユーザーの所属や権限に合わせて、メニューや表示コンテンツを自動で出し分けることができるので、情報の整理整頓もスムーズです。また、多言語対応などグローバル展開にも対応できる基盤を持っていますので、将来的に利用範囲が広がっても安心です。
使い慣れたツールからの派生だからこそ、管理側の学習コストも低く、社員の皆さんにとっても「いつものアプリ」として自然に受け入れてもらいやすい。それがSPOでポータルを作る大きなメリットです。
脱・リンク集!「見たくなる」ポータルにするポイント
前章では「SharePoint Online(以下SPO)は標準機能だけでも十分にモダンなサイトが作れる」ということをお話ししました。 では、実際にどのような工夫をすれば、社員の皆さんが「毎日使いたくなる」サイトになるのでしょうか?
ここからは、私たちが実際のプロジェクトでも意識している「脱・掲示板」のためのポイントをご紹介します。
なぜ今、「見やすいポータル」が必要なのか?
具体的な機能のお話をする前に、少しだけ「なぜ見た目が大事なのか」に触れさせてください。
今の時代、社員の多くはプライベートで洗練されたスマホアプリやWebサービスに触れており、優れたUI(ユーザーインターフェース)に目が慣れています。
そんな中で、ただリンクのURLだけが羅列されたページを用意し、「情報は置いてあるから、あとは各自で探してね」というスタンスは通用しなくなりつつあります。
社内ポータル構築の目的は、情報の集約による業務効率化や、社員の一体感向上であることが多いはずです。しかし、頑張って作ったサイトが誰にも見られなかったり、情報が見つけられずに結局問い合わせが減らなかったりしては本末転倒ですよね。
もし社員が情報を探すのに1日10分無駄にしていたら……全社員分で考えると大きな損失になります。
「見やすさ」を追求することは、単なる飾りではなく、立派な業務改善なのです。
Point①:脱文字だらけ!画像が目を引くWebパーツを使って、視線を誘導する
サイトに限らずどんな資料でも、文字がびっしり詰まっていると、それだけで読む気が失せてしまいますよね。そこで視覚的な軽快さの為に、画像を配置することは非常に重要です。
SPOのモダンサイトには、例えば大小の画像を雑誌の表紙のように組み合わせて配置できる「ヒーローWebパーツ」のような機能が用意されています。
こういった「画像で見せるパーツ」を積極的に活用し、「社長メッセージ」や「注目の社内ニュース」など、特に見てほしい情報に写真を添えるだけで、社員の視線を自然に誘導することができます。
季節感のある画像や、社員の笑顔の写真を使うだけでも、サイト全体の雰囲気がぐっと明るくなりますよ。
Point②:アイコンなどの「視覚情報」を活用して直感的にする
よく使うリンク集、ただの「箇条書きリスト」にしていませんか?
従来のポータルでは文字リンクが並んでいるだけのことが多く、「申請書はどこ?」「経費精算のリンクが見つからない」といった迷子が発生する原因になっていました。
大切なのは、文字を読ませるのではなく、「アイコンなどで直感的に探せる」ようにすることです。
例えば、「クイックリンク Webパーツ」などの機能を使い、表示形式を「ボタン」や「タイル」にするのがおすすめです。
SPOには、今すぐ使える標準アイコンがたくさん用意されています。「交通費申請」の文字の横に「電車」のアイコンを入れる……たったこれだけで、まるでスマホアプリのように、パッと見ただけで目的のボタンが見つけられるようになります。

Point③:「自動で情報が集まる」仕組みを作る
どれだけデザインが良くても、情報が半年間そのまま……というサイトには、誰もアクセスしなくなります。
トップページの鮮度を保つコツは、人間が頑張って更新するのではなく、「情報が勝手に集まってくる仕組み」を取り入れることです。
例えば、「ニュース Webパーツ」などが持つ「ニュースハブ機能」を活用すると便利です。
これは、各部署(人事部、総務部、営業部など)のサイトで投稿された記事を、トップページに自動的に吸い上げて表示させる仕組みです。
運用担当者が毎日トップページを編集しなくても、各部署が自分たちのサイトでお知らせを投稿するだけで、トップページは常に最新の状態に切り替わります。
「ここを見れば、会社の『今』がわかる」。そう思ってもらうことが、アクセス数アップの第一歩です。
★Tips:さらに一歩進んだ活用テクニック
SPO活用のメリットとして、他のMicrosoft製品と連携しやすい点も見逃せません。
例えば、Power Automate という自動化ツールと組み合わせることでも自動化が可能です。
- 「特定の部署のTeamsに投稿された内容を、自動的にSharePointのニュースとして掲載する」
- 「ニュースの掲載期限が切れたら管理者に通知を送る」
といった運用の自動化が考えられます。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回は、SharePoint Onlineを活用した「社員が見たくなる」社内ポータルの作り方についてご紹介しました。
「使い慣れたツールで、ここまでできるんだ!」
記事を通してSPOのそんな魅力のさわりが伝わり、皆様の「理想の社内ポータル作り」のインスピレーションに少しでも繋がれば嬉しいです。
QESでは、本記事でご紹介したSPO以外でもPower Platformの導入支援、教育、ガバナンス整備など、企業のDX推進を包括的にサポートしています。弊社のその他技術ブログもぜひご参考として頂き、お手伝いできることがありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。


