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【AWS re:Invent 2025】最強のマルチモーダルモデル「Amazon Nova 2」発表!動画生成からエージェントまで、その全貌と衝撃

引き続きre:invent2025より、AI関連の情報になります。
今年のキーノートでも大きく注目を集めたのは、AWSが満を持して投入した次世代基盤モデルファミリー「Amazon Nova 2」の発表でした。
テキスト、画像、動画を「理解する」だけでなく、「生成する」能力まで一括統合されたこの新モデルは、特にデジタルマーケティング業界における今後の生成AI利用・開発のデファクトスタンダードになり得るポテンシャルを秘めています。

本記事では、その詳細スペックと、日本の電通デジタル社による衝撃的な活用事例を速報としてレポートします。
主要なアップデート(Key Takeaways)
今年のAI関連発表は「実用性」と「エージェント化」がキーワードです。特に以下の4点が重要です。
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Amazon Nova 2 ファミリーの登場: 用途に合わせて最適化された4つのモデル(Lite, Pro, Premier, Omni)を発表。
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圧倒的なマルチモーダル性能: テキスト、画像、動画、音声を単一モデルで理解・生成可能。特にNova Omniは推論と生成を同時に行う業界初のモデル。
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クリエイティブ生成機能: 画像生成モデル「Amazon Nova Canvas」と、動画生成モデル「Amazon Nova Reel」がBedrockに追加。
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100万トークンのコンテキストウィンドウ: 長時間の動画解析や膨大なドキュメント処理が可能に(Premierモデル等)。
1. Amazon Nova 2 ファミリーの詳細解説
これまでのAWSは、Anthropic社のClaudeなど他社モデルのホスティングに強みを持っていましたが、今回発表された自社製モデル「Amazon Nova 2」は、またその観点とは違った強力なラインナップです。
動画生成と画像生成の統合(Nova Reel / Nova Canvas)
特筆すべきはクリエイティブ領域への進出です。
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Nova Reel: テキストや画像から高品質な動画(数秒〜数分)を生成。カメラワーク(パン、ズーム)の指示も自然言語で可能です。
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Nova Canvas: 広告クリエイティブや素材作成に特化した画像生成モデル。商品の背景置換や、ブランドカラーを維持した編集が得意です。
↓以下ではモデルが来ている洋服のみを、真正面からに角度を修正して抽出

2. 【現地セッション詳報】電通デジタルの活用事例
技術スペック以上に会場を沸かせたのが、日本の電通デジタル(Dentsu Digital)による事例セッションでした。登壇したのは同社執行役員・山本覚(Satoru Yamamoto)氏です。
課題:爆発的に増え続けるクリエイティブ需要
現代のデジタルマーケティングでは、SNS、バナー、動画広告など、膨大な量のクリエイティブを短期間で制作する必要があります。しかし、人手による制作には限界がありました。
解決策:「Amazon Nova」によるクリエイティブの自動生成
電通デジタルは、Amazon Novaのマルチモーダル機能を活用し、広告制作プロセスを劇的に変革しています。
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「無限の」バリエーション生成: 1つの元動画や画像から、Nova CanvasとReelを使って、サイズ違い、背景違い、ターゲット別のキャッチコピー入り動画などを自動生成。
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ブランドの一貫性維持: Novaの強みである「Instruction Following(指示追従性)」を活かし、ブランドのトーン&マナーを崩さずに、AIに修正指示(In-paintingやOut-painting)を出させています。
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動画解析とプランニング: Nova Omniに過去のバズ動画を読み込ませ、「なぜこの動画が成功したのか?」を分析。その分析結果をもとに、次の動画の構成案をAIエージェントが出力するというサイクルを構築しました。

従来の動画制作では1本のCMを作るのに膨大な時間、費用がかかってましたが、
Novaを利用することにより、ペルソナ(ターゲット層)に合わせて複数の動画を瞬時に再構成する様子が実演されました。
ペルソナを人間が決める(今回は中国人観光客)と、システム内のAIエージェントたちが以下のように連携して動き出しました。
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プランニング: 「中国人観光客が旧正月に求めるものは何か?」をAIが推論(例:家族団欒、豪華な食事、特定のアクティビティなど)。
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シーン抽出: 既にアップロードされている膨大な素材(動画、音楽等)の中から、そのニーズに合致するカットだけをNovaが自動選定。
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構成・演出: 「冒頭でインパクトのある絶景を見せ、中盤で食事シーン」といった構成案を作成し、それに合わせたナレーションやキャッチコピーを生成。
デモで出力されたのは、単なるダイジェスト動画ではなく、 映像のトーン、選ばれたシーン、そしてナレーションが完全に「中国人観光客」というペルソナに最適化された、プロ品質の動画広告が瞬時に生成されました。
もしここでターゲットを例えば「日本のZ世代」に変えれば、同じ素材を使っていても、テンポが速く「映える」シーンを中心とした全く別の動画が生成されることになりそうです。まさに「無限の(Infinite)バリエーション」が生まれる瞬間を目の当たりにしました。
山本氏は「AIは単なるツールではなく、クリエイティブパートナーになった」と語り、会場からは大きな拍手が送られました。
所感・まとめ:AWSが「AIの民主化」を本気で加速させている
今回のre:Inventで感じたのは、AWSが「モデルを作るフェーズ」から「モデルを使ってビジネスを変えるフェーズ」へと完全に舵を切ったという事実です。
Amazon.comの強みであるeコマースのノウハウを十二分に生かした戦略となっており、特にいくつかの分野における圧倒的なシェアが見込まれます。
これまでは「BedrockでClaudeが使える」ことがAWSの魅力でしたが、自社製モデル「Nova」の登場により、Nova OmniやReelのようなマルチモーダル機能がAPI経由で手軽に使えるようになったことで、アプリ開発者が「動画生成機能付きアプリ」や「高度な視覚認識エージェント」を個人レベルで作れる時代が到来しました。
まさにAIの多様性の時代の幕明けにふさわしい発表といえます。
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