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【AWS re:Invent 2025】Kiroとは?レトロゲームを作成しながら、Kiroを学ぶワークショップ参加レポート

ITプロダクト開発本部の齋藤です。
AWS re:Invent 2025のワークショップレポートになります。
基調講演でも注目を集めていたKiroですが、そもそもKiroとは何なのか。どのように利用することができるのか。
それらを知るため、レトロゲームを作成しながらKiroを学ぶことができるワークショップに参加してみました!
今回は、ワークショップを通してKiroについて学んだことをまとめさせていただきます!
セッション情報
セッション名
Game on: build a retro adventure game in 120 minutes (120分でレトロアドベンチャーゲームを構築しよう)
概要
AI駆動開発ツール Kiro を使用し、レトロスタイルのアドベンチャーゲームを2時間で作成するハンズオン形式セッションです。コーディング初心者から熟練開発者まで、遊びながら最新の開発ワークフローを体験し、Kiroの使い方を学ぶことができます。
Kiroとは?
Kiroとは、プロトタイプ開発から本番環境へのデプロイまで、開発者がAIエージェントと連携して開発プロセス全体を推進することを支援する、新しいカテゴリの統合開発環境(IDE)です。
これは単なるコード補完ツールではなく、「Agentic IDE」と呼ばれ、AIが開発ワークフロー全体に深く関与し、仕様駆動開発を可能にするのが最大の特徴です。![]()
Kiroの主な機能
基本となる2つのコーディングモード
Vibe Mode(バイブモード)
会話型コーディングモードです。自然言語の対話だけで、ゲームの物理設定、ロジック、UIといった基本バージョン(MVP)を一気に生成することができます。デバッグや探索的なコーディングに最適です。
Spec Mode(スペックモード)
仕様駆動開発の要となるモードです。新機能の追加時に、要件収集、設計、実装タスクへの細分化(プランニング)を段階的にAIが主導し、複雑な機能開発を管理できます。
Kiroの能力を最大化する重要機能
Agent Steering(エージェント ステアリング)
プロジェクト特有の開発ガイドラインや技術標準をKiroに永続的に学習させるための設定。AIがプロジェクトの慣例に沿った、一貫性のあるコードを生成することを保証します。
Agent Hooks(エージェント フック)
IDE上の特定のイベント(例:ファイルを保存した時)をトリガーに、ドキュメントの更新や新しいテストケースの作成といった定型タスクを自動実行する機能です。
コンテキストの追加(#)
従来のAIアシスタントは、チャット履歴や現在開いているファイルから自動でコンテキストを推測します。しかし、プロジェクトが大規模になるほど、AIはどの情報が最も重要かを判断するのが難しくなり、コンテキストの過負荷や関連性の低い情報の誤参照が発生しがちです。
#を使いコンテキストの追加を行うことで、AIのコンテキストを正確に制御でき、AIの「記憶の曖昧さ」を排除し、回答の精度を劇的に向上させることができます。
「#kiro-logo.png をキャラクターとして使用し、ジャンプのアニメーションを作成してほしい。」のようにプロンプトを作成します。
ゲーム作成のフロー
Step1.開発コンテキストの構築とVibe ModeによるMVP構築
このStepでは、Kiroにプロジェクトのルールを教え込み、Vibe Modeを使ってゲームの基本動作(MVP)を高速で実現します。
- Agent Steeringの設定
ゲーム開発特有のルール(例:キャラクターのビジュアル設定、使用するライブラリ)をKiroに永続的に学習させる。Kiroは生成コードがこのルールに沿うようになります。 - Vibe Modeの利用
「HTML5 CanvasでSuper Kiro Worldを構築せよ」というようなプロンプトで、プラットフォームベースのレベル設計、重力とジャンプの物理設定、左右移動、スクロールカメラなどを含むMVPを一気に生成します。 - コンテキストの追加(#)
キャラクター画像や背景画像など、参照させたいファイルを # で明示的に指定し、AIの出力精度を高める。 - テストとデバッグKiroはエラーがあれば自動で原因を分析し、修正を提案してくれます。これにより、構文エラーで動作しない事象を開発者が確認することなく、防ぐことができます。実際にゲームをプレイし、ジャンプの感覚、摩擦、障害物との衝突など、必要とする修正をプロンプトで提案することで素早くゲームの改善をしてくれます。
Step2.仕様駆動開発(SDD)による機能拡張
基本動作が安定した後、KiroのSpec Modeに切り替え、より複雑な新機能(スコア保存、パワーアップ、新しい敵など)を計画的に追加します。
- Spec Modeの起動
「ライフシステムとコイン獲得機能を追加したい」という要件をSpec Modeに入力。Kiroが計画プロセスを開始。 - Requirements.mdの生成(要件書、【何を、なぜ作るのか】)
Kiroが「コイン獲得でスコア加算」「ライフゼロでゲームオーバー」といった要件を生成。プロダクトマネージャーの視点でレビューし、承認する。承認後、実行が行われる。 - Design.mdの生成(設計書、【どう実現するのか】)
Kiroが「コイン用のオブジェクト構造」「ライフシステムのためのグローバルステート管理」といった技術的な設計を提案。エンジニアの視点でレビュー。 - Tasks.mdと自律実行(実行タスクリスト、【どのような手順で実行するのか】)
Kiroが生成した実行タスクリストを確認し、実行。KiroはAgent Steeringのルールを守りながら、ライフシステムの実装やコインの衝突判定を自律的にコードに適用していく。
ワークショップ中にスーパーマリオのようなゲームを作成しました。
他には、パックマンやインベーダーなどを作成している参加者もいました。

Step3.ワークフローの自動化と拡張
実装後の定型作業を効率化し、Kiroの能力をプロジェクト外に拡張する機能を利用しました
- Agent Hooksの利用
「新しいコンポーネントを作成した時」をトリガーに、自動で基本的なドキュメントを生成する設定など、定型タスクを自動化。 - Model Context Protocol (MCP)
外部のアセット管理システムやGitHubと連携し、開発コンテキストを拡張する。
まとめ
Kiroは、単にコードを書くスピードを上げるだけでなく、プロダクト開発のあり方そのものを変革する可能性を秘めていると感じました。その革新性を下記にまとめます。
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企画・設計への集中: 開発者は、「何を、どう作るか」という企画や設計といった高次のタスクに集中でき、Kiroが煩雑な実装や定型的なタスク(ドキュメント生成、テストケース作成など)を引き受けてくれます。
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誰でもフルスタック開発者: AIが開発ワークフロー全体をガイドしてくれるため、特定の専門知識がない開発者でも、Kiroと対話しながら複雑なアプリケーションを迅速に構築できます。これは、特にスタートアップやMVP開発において絶大な効果を発揮すると感じました。
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チーム開発の標準化: Agent Steeringにより、チームの慣例や技術標準をAIに学習させ、生成されるコードの一貫性を高めることができます。
Kiroは、AIを「開発パートナー」として迎え入れ、開発の民主化と生産性の劇的な向上を実現する、今後のプロダクト開発に不可欠なAgentic IDEだと思いました。
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