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Windows OSの大量展開で利用するSysprepのよくあるエラーとその対処方法を解説

これまで、Sysprepの「役割」「実行手順」、そして「応答ファイル(Unattend.xml)」について解説してきました。
Sysprepはマスターイメージ作成に必要なツールですが、実行時にエラーが発生しやすいという注意点もあります。エラーが発生すると、場合によってはせっかく準備したマスターイメージの作成が中断したり、起動不可の状態になることもあります。
本記事では、キッティング作業中に特に遭遇しやすいSysprepのエラーとその具体的な対処方法などについて解説します。
1.Sysprepが失敗する主な原因
■Generalize(固有情報の削除処理)が失敗する主な原因
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原因 |
Sysprep失敗への影響 |
関連する対処法 |
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UWPアプリの残り |
ストアアプリ(UWPアプリ)が、ユーザープロファイルに紐づいた状態で残っていると、Generalizeが失敗します。 これはSysprep失敗の最も一般的な原因です。 |
対象のUWPアプリの強制削除 |
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ネットワーク接続 |
ネットワークに接続されたままSysprepを実行すると、Windows UpdateやOneDrive/Teamsなどのクラウドサービスが裏側で動作し、プロセスが競合してSysprepが失敗する原因となります。 |
ネットワークの物理的な切断 |
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ドライバ・レジストリの競合 |
インストールした特定のアプリケーションのドライバーや、レジストリ項目がSysprepによる一般化処理をロックしてしまい、Generalizeが失敗することがあります。 |
ログの確認と個別対応 |
2.発生しやすい代表的なエラーと対処方法
ここでは、Sysprepの実行時に実際に表示される代表的なエラーメッセージとその解決策を紹介します。
PowerShellを使った処理などが含まれるため、事前にテスト実行をすることをおすすめします。
エラー①:Sysprepが実行できず、エラーメッセージのみが表示される
Sysprepの実行を試みたが、具体的なエラーコードがなく、「Sysprepを検証できませんでした」といったメッセージが表示されることがあります。
・主な原因 : UWPアプリの残り(Sysprepの処理をロックしている)
・具体的な対処方法 : 管理者権限でPowerShellを起動します。
1)Get-AppxPackage -AllUsers | Remove-AppxPackage コマンドを実行し、すべてのユーザーから不要なUWPアプリを強制的に削除します。
2)特に問題になりやすいXboxや天気などのアプリは、この強制削除を行うことで大半の問題が解決します。
3)確認ポイント:どのUWPアプリが原因となっているかはSysprepのエラーログでも確認することができます。対象のUWPアプリはPackageFullNameで記載されています。
エラー②:Sysprep実行時に特定の終了コードが表示される
Sysprepのログファイルには以下のようなエラーコードが記録されることがあります。
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エラーコード |
想定される主な原因 |
対処法 |
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0x8007000A |
ライセンス認証システムや、特定のレジストリ情報に問題がある場合。 |
Generalize処理が原因のため、slmgr.vbs /rearm コマンドを実行し、Windowsのライセンス状態をリセットしてから再度Sysprepを実行します。 |
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0x80040003 |
不正な設定を持つユーザープロファイルが残っている場合。 |
Sysprepを実行する前に、管理者アカウント以外のユーザープロファイルをすべて削除します。 |
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0x80073B1 |
Sysprep実行時にエラーが検出されたが、特定の処理が継続できない状態。 |
Sysprepのログ(setupact.log)をすぐに確認し、直前のエラー原因を特定する必要があります。(次項参照) |
3.Sysprepログの確認方法と調査手順
エラー発生時は、必ずログファイルを確認してください。Sysprepのエラー原因は専用のログファイルに記載されます。このログファイルがエラー解消の鍵となります。
■ログファイルの保存場所
Sysprepの実行に関するすべてのログは、以下のフォルダに保存されています。
%WINDIR%\System32\Sysprep\Panther
■最優先で確認するログファイル
Pantherフォルダ内の「setupact.log」ファイルが、Sysprep実行の全プロセスを記録したメインのログとなります。
テキストエディタでファイルを開き、メニューの編集から「検索する」で以下のキーワードで検索します。
・「Error」
・「Failed」
・「Exit Code」
これらのキーワード周辺に記載されている内容が原因となっています。
例:UWP app was not properly removed...
※ログファイルは追記されていくため、末尾に近いものが直近のエラーとなります。
なお、このファイルは削除しても再作成されるためSysprepごとに削除するとわかりやすくなります。
まとめ
Sysprepは、一度エラーが発生すると原因の特定に時間がかかります。
■重要な確認ポイント
・事前準備の徹底:特にネットワークの切断、UWPアプリの削除は忘れずに必ず実施しましょう。
・ログを確認する:エラーコードからの調査だけでなく、ログファイル内のErrorやFailedといったキーワード検索から具体的な原因を特定することも重要です。
本記事で、Sysprepシリーズは完結となります。一連の記事が、Windows OSの展開作業における効率化の助けになれば幸いです。
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