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Windows OSの大量展開に利用するSysprepの役割を解説

そもそもSysprepとは何をするツールなのか
Sysprep(システム準備ツール)はWindows OSの展開を効率的かつ適切に行うために
Microsoftから提供されているツールです。
単一のPCで作成したシステムイメージを、大量展開できるよう汎用化する役割を担います。
本記事ではSysprepについて解説したいと思います。
Sysprepの役割について
■Generalize(ハードウェア固有情報の削除処理)によるSID(セキュリティ識別子)のリセット
端末にはSIDという一意の識別子がOSインストール時に割り当てられます。
システム内部で使用され、アクセス権やセキュリティ設定の基準となります。
Sysprep実行時にこのSIDのリセットを行うことが可能となっています。
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具体例:S-1-5-21-3623811015-3361044348-30300820-1013 前半(マシンSID)と後半(RID)に分かれています。 S-1-5-21-から始まる3ブロック :マシンSID(PC固有) 1013 :RID(ユーザーやグループの個別番号) |
Sysprepを実行せずに同じイメージを複製して複数PCに展開するとSIDを保持した状態で複製されてしまいます。
重複することにより、ドメイン環境では認証やGPOの処理で同一端末と誤認されることがあります。
発生する代表的な不具合は以下のようなものがあります。
・PCアカウントの識別が衝突する
・認証で同一PCと判断されることがある
・GPOの適用や管理に問題が発生する
よって複製イメージを利用して展開する場合は、SIDの競合による不具合を防ぐため
Sysprep(generalize)を実行しSIDをリセットする必要があります。
■OOBE(Out-Of-Box Experience)への切り替え
簡単に説明するとWindowsを"初期セットアップ状態"へ戻すという意味になります。
PCを買った直後に電源を入れると以下のセットアップ画面が順番に表示されるかと思います。
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・言語選択 ・キーボードレイアウト ・ネットワーク接続 ・アカウント作成 ・プライバシー設定 |
このセットアップ画面がOOBEとなります。
複製イメージの作成時に作成されるデータにはログイン済みユーザー、自動生成されるファイル、個別の設定、
前述のSIDなどがあります。
Sysprepを実行しOOBEに切り替えることによって、初期セットアップ状態へ戻し、初めて電源を入れたときと
同じ状態から開始できるようになります。
まとめ
Sysprepは、複製イメージによるPC展開において「SIDの競合防止」や「初期設定状態へのリセット(一般化)」という、
安定した運用に不可欠な役割を担うツールとなっています。
急ぎWindows 11へのアップデートを行ったが、今後、機器更改があるといった際には更改のタイミングで複製イメージの展開も検討してみてはいかがでしょうか?
複製イメージを利用することで展開に必要な工数や細かい設定ミスの削減にもつながります。
QESでは豊富な経験をもとにお客様のWindows 11端末の調達、移行・キッティングを含めた導入支援を行っております。
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次回以降は、
・Sysprepの実行手順
・応答ファイルについて
・よくあるエラーとその対処方法について
を紹介したいと思います。
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