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Windows OSの大量展開に利用するSysprepの実行手順を解説

前回『Windows OSの大量展開に利用するSysprepの役割を解説』でご紹介したSysprepの具体的な実行手順についてまとめます。
Sysprep(システム準備ツール)は一般的なアプリケーションとは異なり、コマンドまたは専用画面から実行するツールです。
今回はマスターイメージを作成する基本の流れと、利用する頻度の高いオプション、実行失敗を防ぐための注意点を中心に解説したいと思います。
Sysprepの実行手順について
■マスターイメージ作成の基本フロー
Sysprepを実行する前には、OSを準備し、イメージを「一般化」する事前準備が必要です。
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STEP |
項目 |
実行内容とポイント |
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① |
OSのクリーンインストール |
MicrosoftのHPよりWindows 11のインストールメディア(ISO)を作成し、OSのインストールを行います。 |
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② |
ネットワーク切断 |
初期セットアップ完了後、イーサネットケーブルを抜く、Wi-Fiをオフにするなど、通信切断状態を維持します。これは、Windows UpdateやMicrosoftアカウントの同期などが始まり、Sysprep失敗の要因となるのを防ぐためです。 |
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③ |
必要なアプリの導入 |
マスターイメージに組み込みたいアプリ(特に旧来のWin32アプリなど端末内で完結するもの)を導入します。 |
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④ |
UWPアプリの整理 |
Windows 11標準のストアアプリ(UWP:Universal Windows Platform、例:Xbox、天気、ニュースなど)のうち、不要なものを削除します。UWPアプリの残り方はSysprepのGeneralize(ハードウェア固有情報の削除処理)実行時にエラーが発生する主な原因の一つです。 |
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⑤ |
クラウドサービスの対策 |
OneDrive、Teams、Copilotなどのクラウドサービスを停止または削除します。これらのサービスはユーザーアカウントに紐づくため、サインアウトやアンインストールを行い、Sysprepでのエラーを回避します。 |
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⑥ |
Windows Updateの停止 |
最新版までの適用を確認した後、サービスを停止するなど自動実行を制御します。Sysprep中に動作することでプロセスの競合などが起き、失敗する可能性があります。 |
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⑦ |
Unattend.xmlの準備 |
Windowsのセットアップ項目(ユーザーアカウント作成、言語設定、ライセンスキー入力、OOBEのスキップなど)を自動化するための応答ファイル(Unattend.xml)を準備します。 |
■Sysprepの実行と主なオプション
実行時は以下のオプションを組み合わせて使用します。今回はよく利用されるオプションを紹介します。
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オプション |
意味と役割 |
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/generalize |
SID(セキュリティ識別子)やドライバキャッシュなどの固有情報をリセットし、イメージを一般化します。(必須オプション) |
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/oobe |
次回起動時に**初回セットアップ画面(OOBE)**に戻すように設定します。 |
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/shutdown |
Sysprep処理が完了した後、自動的にシャットダウンします。 ※イメージ取得を行う場合の推奨オプション |
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/unattend:<ファイル名> |
**応答ファイル(Unattend.xml)**を使用して、セットアップ処理を自動化します。 |
まとめ
上記のマスターイメージ作成の基本フローとSysprepのオプションを使用してSysprepを実行することで、マスターイメージの準備が完了します。
無事Sysprepが成功しシャットダウンが行われれば、クローニングツール(例:DISMなど)を使用してイメージが取得できる状態となります。
複製イメージによるPC展開のメインとなる準備はこれで完了です。
次回は記事内にもあった応答ファイル(Unattend.xml)について、その役割や記述内容について少し詳しく解説したいと思います。
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