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記事公開日

Windows OSの大量展開で利用するSysprepの応答ファイル(Unattend.xml)の役割と記述について解説

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はじめに

 前回ご紹介した『Sysprepの具体的な実行手順』内のマスターイメージ作成の基本フローにも登場した応答ファイル(Unattend.xml)は、イメージを利用したPCの大量展開では欠かせません。
 本記事では、この応答ファイルがどのような役割を担い、どのような内容を記述するのか、そしてどのように処理されるかについて解説します。

   

1.応答ファイル(Unattend.xml)の役割

  Sysprep(システム準備ツール)を実行し、OOBE(初回セットアップ状態)に戻した後、本来であればPCの利用者やキッティングの担当者が手動でOOBEの画面に沿って以下の作業を実施します。

  ・言語選択やキーボードレイアウトの選択
  ・ライセンス認証キー(プロダクトキー)の入力
  ・ユーザーアカウントの作成
  ・ネットワーク設定、プライバシー設定の構成
  ・OOBEの完了操作

 応答ファイルの最大の役割は、これらの作業を自動化することです。
 事前にファイル内に設定内容を記述しておくことで、複製イメージを展開した後の初期設定を無人(Unattend)で完了させることができます。

 これにより、展開にかかる工数、キッティング担当者による設定ミスを削減することができます。

2.応答ファイル(Unattend.xml)が処理されるタイミング

  応答ファイルには、Windowsのセットアッププロセス全体をカバーするため、複数の「構成パス(Configuration Pass)」と呼ばれる処理タイミングが存在します。
  応答ファイル(Unattend.xml)に記述された各設定は、Windowsセットアップの特定のフェーズで読み込まれ、自動的に適用されます。
主な処理タイミングは以下の通りとなります。

 

構成パス

処理されるタイミング

記述する設定内容

Specialize

SysprepのGeneralize処理完了直後、またはPCが最初に起動するタイミング

PC固有の設定SIDリセット後)や、ライセンス認証に関する設定など

oobeSystem

OOBE(初回セットアップ画面)が表示される直前および最中のタイミング

ユーザー操作を伴う設定。ローカルアカウントの作成、言語設定、利用規約のスキップやプライバシー設定の自動決定など

auditSystem / auditUser

監査モード(Sysprep実行前のマスターイメージ作成時)に入るタイミング

ドライバーやアプリケーションのインストール、その他のカスタム設定など

【重要】Sysprep後の自動化において特に重要なのは、PC固有の設定を行う『specialize』とユーザーが最初に見る画面を制御する『oobeSystem』です。これらの構成パスを正しく設定することが、無人展開成功のカギとなります。

Sysprepを実行する際に実行コマンドに『/Unattend:ファイル名』オプションを指定することで、この応答ファイルがセットアッププロセス全体で自動的に利用されます。

※ファイルの場所がSysprepフォルダ内でない場合はパスを指定する必要があります。

3.応答ファイル(Unattend.xml)に記述する主要な設定内容

応答ファイルに記述できる設定内容は非常に多いですが、PCの大量展開でよく利用される設定をいくつか紹介します。

  ■セットアップ情報の自動入力

  ・言語設定OSの言語や入力言語、地域情報の設定

  ・ライセンスキー:プロダクトキーを設定し、ライセンス認証の手順をスキップ

  ・タイムゾーンPCのタイムゾーンを設定

  ■ユーザーアカウントの自動作成

  ・アカウントの作成PCを最初に利用する際のローカルユーザーアカウント情報(ユーザー名やパスワード等)を作成

 OOBE(初回セットアップ)の自動化とスキップ

  ・EULA(利用規約)の承認:自動承認することにより画面表示をスキップ

  ・プライバシー設定:位置情報、診断データなどのプライバシー関連の設定

 PC名(コンピュータ名)の自動生成

  ・固定または連番などのルールに沿ってコンピュータ名を自動生成・設定

4.応答ファイル(Unattend.xml)の作成方法

応答ファイルは手書きで作成することも可能ではありますが、xmlファイルの記述はわかりづらく記述ミスも発生しやすくなっています。

通常は、Windowsシステムイメージマネージャー(Windows SIM)という専用ツールを利用して作成します。

Windows SIMを利用すると、Windowsのインストールイメージ(WIMファイル)を読み込むことでファイルに含まれる設定項目の一覧から必要な項目を選ぶことができます。表示されるどの構成パスを適用するかをGUIで指定しながら応答ファイルが作成できます。


まとめ

応答ファイル(Unattend.xml)は、Sysprep(システム準備ツール)によるマスターイメージ展開後の初期セットアップ作業を自動化し、展開工数と作業ミスを大幅に削減する鍵となるツールです。

役割OOBE(初期セットアップ)で必要な手動入力を自動化する

特徴Windowsセットアップの構成パス(タイミング)で自動的に処理される

 

次回は、このSysprepシリーズの最終回として、キッティング中に発生しやすい「Sysprep(システム準備ツール)のよくあるエラーとその対処方法」について解説したいと思います。


 QESでは豊富な経験をもとにお客様のWindows 11端末の調達、移行・キッティングを含めた導入支援を行っております。

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<過去の記事はこちら>

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