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Microsoft Ignite 2024 @Chicago TOPIC: 再定義されたCopilot

こんにちは、DXソリューション営業本部 大坪です。
シカゴで行われているMicrosoft Ignite 2024に参加しています。現地から特定のトピックに関するレポートとして本記事を書いています。
ちなみに今日(Day3)の会場ランチはカレーでした!主食はライスとナン、カレーは豆とチキンを(または両方)選べます。暖かく味付けも非常においしいです。今日のシカゴは吹雪で気温も摂氏一桁台、冷えた体が温まります。
過去のランチレポートは他の記事もご覧ください:Ignite 2024 Day2レポート
再定義された Copilot
CopilotはMicrosoft Ignite 2024で最もアピールされた製品と言っていいかと思います。発表されたほぼすべての新製品・新機能は何らかの形でCopilotまたはAzure AIとの連携が触れられていたのではないでしょうか。アプリからデータ、インフラに至るまで、すべてが「Copilot-Ready」「AI-Ready」を前提にしていると感じます。
初日に行われた基調講演で、サティア・ナデラCEOはCopilotについて「UI for AI(AIを使うためのユーザーインターフェース)」と定義しました。
これまではAIを使用する製品に何でもかんでもCopilotの名称が使用されている印象がありましたが、今回の発表により、ユーザーが触れるインターフェースとしての「Copilot」、そこから呼び出される各機能としての「Copilot エージェント」、その裏側にある「AIモデルとデータ」という構造が明確に定義された感があります。
またこの定義により、"ユーザーが使用するためのUIを備えた「Copilot」" VS "開発者がアプリに組み込み・高度なカスタマイズするための「Azure AI」" という役割分担もはっきりと分かれ、特にその中間に属する市民開発者やパワーユーザーはまずは「Copilot Studio」でAI機能のカスタマイズを行う、という位置づけに迷いがなくなったのではないかと思います。
発表・アップデートされた新機能
今回のIgniteではメインのトピックとして推されていたこともあって「Copilot」と名の付く製品・機能が大量にアナウンスされました。大きく分類すると、Copilotの具体的な機能にあたる「Copilotエージェント」、Copilotに依頼してタスク実行を自動化できる「Copilotアクション」、また各製品・機能に支援システムとして組み込まれるCopilotの3つに分けられるかと思います。
Copilot エージェント
Copilotエージェントは(UIとしての)Copilotから呼び出され、それぞれの具体的な機能として動作するものです。サティア・ナデラCEOも冒頭でCopilotのビジョンとして「Building an agentic world(エージェントの世界を構築する)」と述べている通り、Copilotの有用性の核となる重要な機能と言えます。
以前のCopilot(GPT-3.5世代ベース)はテキスト生成しか行えなかったため、支援機能としても文章生成や要約、検索程度しか行えませんでしたが、GPT-4o以降のマルチモーダル機能によってAIへの入力に映像・画像・音声を扱うことができるようになり、Copilotの認識能力・活用範囲が大きく広がりました。
最もインパクトがあるのはTeamsの会議に参加してその音声、映像、共有画像やファイルを入力として様々な支援ができる各種エージェント機能です。
Copilot Agents for Microsoft 365
SharePoint エージェント(一般公開)
特定のSharePointサイト、ドキュメントなどをソースに問合せに回答できるCopilotをワンクリックで作成できます。特定業務・領域に特化したCopilotをユーザーレベルで簡単に作成することができます。
セルフサービス・エージェント(プライベートプレビュー)
一般的な総務・人事・IT関連の問合せタスクに回答できるエージェントです。会話から申請フォームを受け付けて処理を進めるデモが行われました。
通訳エージェント(来年プレビュー予定)
リアルタイムの通訳機能。会議中の発言を他言語に翻訳して発言者の声で(!)発声できるデモが行われ、会場を驚かせました。
ファシリテーターエージェント(プレビュー)
会議内容からリアルタイムで議事録の作成や要約を行うエージェントです。それを人間が修正しながら会議を進めることで、会議内で議事録やタスクの割り振りを完了できる様子がデモされました。
プロジェクトマネージャーエージェント(プレビュー)
Plannerのタスク管理の支援を行うエージェントです。詳細はあまり触れられませんでした。
Copilot Studio:オリジナルまたはサードパーティ製のエージェント
標準で用意されたCopilotエージェントでは満足できない場合、対応できない場合には、Copilot Studioでオリジナルのエージェントを新規に作成する、または参照データ含めカスタマイズを行うことができます。またサードパーティ製のエージェントが要件に合う場合にはそれを導入・展開することもできます。
Copilotアクション
CopilotアクションはCopilotから実行できる自動化機能です。スケジュールやトリガーを定めて、Copilotにタスクの実行を依頼できます。チームメンバーへのメール送信や情報の収集・要約などが例示されていました。
イメージとしては「Outlookの振り分けルールのように、タスクを自動化できる」と表現されています。
各製品の支援機能としてのCopilot
Security Copilot
Defender、Purviewなど各種セキュリティ製品の管理ページに埋め込まれたCopilotです。Copilotがデータやログを分析し、自然言語でセキュリティリスクや推奨事項を説明してくれることで、管理者の負荷を下げられるとされています。
Office向けのCopilot(Teams, Outlook, Excel, Word, PowerPoint)
Microsoft 365サービスのそれぞれにCopilotが統合されて機能します。TeamsではWeb会議の音声でのやり取りや画面共有の内容までも理解して内容を書き起こすことができるようになります。
Power Platform内のCopilot
Power Platformの各機能では以前からCopilotによる開発支援機能が内蔵されていましたが、最近の機能追加ではアプリ内に簡単にAI機能を搭載できる機能が追加されています。Power Appsではエージェントをアプリ内に搭載したり、Power Pagesではデータに関するインサイトを表示する、画面内のフォームの入力をAIが支援する等の機能追加が行われています。免許証のスキャンをアップロードすると、AIが記載内容を読み取って申請フォームにデータを埋めこんでくれる、等のデモが行われました。
まとめ
Ignite 2024での「Copilot」の熱量は凄まじく、Microsoft の本気を感じさせるものでした。会場の中央に設置された Copilot の巨大なモニュメント(トップ画像のもの)からも気合が伝わってきます。
これはビジネス的な意味合いだけでなく、すべてがAIによる支援や自動化を前提にした世界観が既にすぐそこまできているということでもあります。便利な道具としてそれを使いこなすことももちろんですが、その先までを見据える必要もあるように感じられました。吹雪のシカゴからお送りしました。
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