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【AWS re:Invent 2025】AIエージェントでアーキテクチャ図を自動生成!MCP活用ワークショップ参加レポート

DXソリューション営業本部の三浦です。
ラスベガスで開催されているAWS re:Invent 2025に参加しています。
今回は、生成AIエージェントを活用してソフトウェアアーキテクチャ図や技術ドキュメントを作成・分析するワークショップ「ARC306: Architecture diagrams with generative AI: Leveraging AI agents」に参加してきましたので、その内容をレポートします。
セッション概要:生成AIエージェントによる作図の自動化
ソフトウェア設計において、アーキテクチャ図はステークホルダーとの合意形成や開発者間の理解を深めるために不可欠です。しかし、正確な図を作成し変更の度に修正するには多くの時間がかかります。
本セッションでは課題を明確に設定し、解決する術を学びました。

- ソフトウェア設計ワークフローで図を作成・レビューする必要がある
- 生産性向上のために生成AIエージェントを使用したい
- 進化する技術(AI)を取り入れ、現在機能する手法と将来の戦略を学びたい
このワークショップでは、Kiro CLI(開発ツール)やオープンソースのStrands Agents SDKを使用し、Amazon Bedrock上の基盤モデルを活用してカスタムエージェントを構築する方法を学びました。
また、重要な要素としてMCP (Model Context Protocol) が採用されており、これによりAIアプリケーションと外部システム(ドキュメントやAWSリソースなど)を標準化された方法で接続しています。

ワークショップの全体像としては、開発環境からKiro CLIやローカル/リモートのMCPサーバーを経由して、Amazon Bedrockと連携する構成になっています。

ワークショップの実践内容とステップ
ワークショップは大きく4つのステップで構成されていました。
Step 1. Basic Agents(基本エージェントによる画像分析)
まずはシンプルなPythonスクリプトと、Kiro CLIのカスタムエージェント、Strands Agentを比較しました。
サーバーレスアプリケーションの構成図(PNG画像)を読み込ませ、MCPサーバーを経由して外部ツールを使うことで、「図をダウンロードしてMermaid記法に変換する」といったタスクを実行しました。
Step 2. Architecture Proposal(ホワイトボードからの提案書作成)
手書きのホワイトボード(ラフなスケッチ)から、詳細なアーキテクチャ提案書を作成するタスクです。
エンタープライズ版エージェントでは、外部データソースとしてMarkdownファイル(internal-service-names.md)で定義された社内サービスカタログを読み込ませることで、単なる「DB」という記述を、社内固有のシステム名や役割として正しく認識させることができました。
Step 3. Architecture Review(アーキテクチャレビュー)
生成されたドキュメントと図を、過去のADR(Architecture Decision Records:アーキテクチャ決定記録)と照らし合わせてレビューを行いました。
AIエージェントが過去の決定事項を考慮し、整合性が取れているかチェックするワークフローを体験しました。
Step 4. Experiment(発展)
最後のステップは自由演習でした。参加者が独自のダイアグラムを持ち込んだり、AWSブログの図を使って、これまでに学んだカスタムエージェントやMCPサーバーの構築を自由に試す時間が設けられました。
会場でのQ&A・ディスカッション
ワークショップ中に同グループ内であったQAをまとめました。
Q1. なぜMCPサーバーでドキュメントを参照させる必要があるのですか? モデルの知識だけではダメなのですか?
A. ハルシネーションを防ぐためです。
モデル自身が持っている知識(パラメトリックメモリ)に頼ると、ハルシネーションが発生する原因になります。AWSのドキュメントなど、信頼できる外部リソースから答えを取得させることで、正確な回答を得ることができます。
Q2. MCPサーバーの有無で、AIによる提案内容にどのような変化がありましたか?
A. データベースの選定など、具体的な推奨内容が変化しました。
例えば「NoSQL」という記述に対し、MCPサーバーなしの状態では、単純な連想で「DynamoDB」を推奨しました。しかし、MCPサーバー(Knowledge Server)を接続し、検索要件があることを確認させたところ、より適切な「OpenSearch」を正しく推奨するようになりました。
Q3. 手書き図で書き忘れた矢印(関連性)は、AIが補完してくれますか?
A. 文脈から推測して補完してくれるケースがあります。
今回のホワイトボードの図では、「Display Microservice」からライブラリシステムへの矢印を書き忘れていましたが、生成されたシーケンス図ではその関係性が正しく補完されていました。モデルがシステムの文脈を理解していれば、欠落している情報を推論できることがあります。
Q4. 「Shakespeare」のような社内独自のシステム名を、どうやってAIに理解させるのですか?
A. Markdownファイルなどで定義を与え、コンテキストとして読み込ませます。
単に「Shakespeare」と入力すると、AIは作家のシェイクスピアだと認識してしまいます。そこで、「Shakespeareは編集システムである」といった定義を記述したファイルをコンテキストとして与えることで、社内システムとして正しく認識し、適切なアーキテクチャ提案を行えるようになります。
まとめ:定義付けによる精度の向上
今回のワークショップを通じて、AIエージェントを業務利用する際の重要なポイントを再確認できました。
すでに業務で生成AIを使用している方も多いと思いますが、単にプロンプトを投げるだけでなく、「Markdownファイル等で前提条件や用語の定義付け(コンテキスト)を明確に与える」ことで、AIの回答精度が劇的に向上します。
特に、社内固有の用語やアーキテクチャのルールをMarkdownで定義し、それをMCP経由でエージェントに参照させる手法は、すぐにでも現場で応用できるテクニックだと感じました。
re:Invent期間中は引き続き、現地の最新情報をお届けしていきます。
↓Diagram MCPの検証ブログになりますので、ぜひご覧ください。
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