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QES ブログ

記事公開日

コーディングなしで議事録書き起こしツールを実装する ③Microsoft TeamsとMeeting Insights APIの活用

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こんにちは。DXソリューション営業本部の吾妻です。

本連載「コーディングなしで議事録書き起こしツールを実装する」では、各社が提供する生成AIと、PaaS / aPaaS / SaaSを組み合わせることによって、スクラッチ開発を避けつつ、文字起こしを自動化するツールを構築する方法をいくつかご紹介していきたいと思います。


前回の記事では、Power AutomateとAzure OpenAI Serviceを組み合わせることによって、ローコードで開発者が用途に合わせてカスタマイズすることのできる文字起こし機能を実現しました。既成AIモデルを利用するのとは異なり、プロンプトを通して「どのような形式で出力させるか」「粒度をどうするか」「何を重視するか」を指示することで、議事録の書き起こし方をカスタマイズできることをご覧いただけたかと思います。

第3回目となるこの記事では、前回までとは異なり、Microsoft 365 Copilotライセンスを持つユーザーであれば利用できるMeeting Insights APIを利用して、Microsoft Teams会議の文字起こしと、それをAIが分析した情報を取得する方法についてご紹介したいと思います。



Meeting Insights APIとは

Meeting Insights APIは、Graph APIの一部としてMicrosoft社から提供されている、Teams会議におけるAI生成の議事録、アクションアイテム、議論トピックなどの「会議インサイト」を取得できるAPIです。

Meeting Insights APIを利用することで、文字起こしをもとにAIが生成した、以下のような「構造化された会議分析情報」を取得できます。
  • 要約
    会議内容を包括的にまとめた会話サマリーを取得できる

  • アクション項目
    ディスカッションからAIが抽出したアクション項目を取得できる

  • 参加者が言及された発言
    特定の参加者が直接言及された発話(発話時刻、話者、内容)を把握できる



本記事を執筆するにあたって、Microsoft社の「中の人」であるギークフジワラさんの記事 https://www.geekfujiwara.com/tech/powerplatform/6984/ を参考にさせていただいています。Meeting Insights APIがプレビュー公開された当時と現在では、エンドポイントURLなどで異なっている箇所があるため、2026年3月時点で改めて検証した内容を記載しています。

本記事では議事録とAI分析情報だけに絞ったサンプルをご紹介しますが、ギークフジワラさんの記事では、モデル駆動型アプリやCRMとの連携といった応用的なシナリオについても記載されており大変勉強になるので、皆さんもご一読いただくと良いかと思います。


構成案

今回は、シンプルにPower Automateクラウドフローから、Meeting Insights APIを呼び出す構成とします。

Graph APIから情報を取得する際に、「アプリケーションの許可」ではなく「委任されたアクセス許可」でユーザーの代理としてAPIを呼び出す必要があるため、HTTP with Entra IDアクションではなく、HTTPアクションを利用する必要があります。



事前準備

APIを呼び出すための認証設定として、Microsoft Entra ID(旧Azure AD)にアプリを登録し、必要な権限を付与しておきます。

①アプリの新規登録: Entra管理センターで「アプリの登録」を行います

②アプリケーションID(クライアントID)とディレクトリID(テナントID)をDataverseの環境変数などに格納しておきます

 ※今回はサンプルなので環境変数に直接埋め込んでいますが、本番運用ではセキュリティ面を考慮して、Azure Key Vaultなどのシークレット管理サービスを利用してください

③「API のアクセス許可」メニューから以下のアクセス許可(Scope)を付与し、管理者同意を与えます(いずれも委任されたアクセス許可です)
 ・CallTranscripts.Read.All
 ・OnlineMeetingAiInsight.Read.All
 ・OnlineMeetings.Read
 ・OnlineMeetingTranscript.Read.All
 ・User.Read

 ※議事録とAI分析情報だけに絞ったサンプルなので、付与するアクセス許可も最低限にします

④「証明書とシークレット」メニューから新しいシークレットを作成し、値をDataverseの環境変数などに格納しておきます

 ※クライアントシークレットを控える際には、シークレットID(GUID)ではなく値を利用することに注意が必要です
ppstt-azure21a.png



クラウドフローの実装

Power Automate ポータルで、クラウドフローを作成します。


まず、フローのトリガーには手動トリガーを使用しています。これは、初回(もしくは期限切れ後)にリフレッシュトークンを取得する際は、クラウドフローだけで処理を簡潔できず、ブラウザでの手動操作が1つだけ発生するため、自動トリガーを利用できないのが理由です。
ただし、リフレッシュトークンを一度取得してしまえば、暫くはクラウドフローだけでGraph API呼び出しなどの処理を自動的に行わせることができるので、実運用では、クラウドフローを分割して、Teams 会議終了後や特定のイベントを契機とした自動トリガーに置き換えることもできます。


次に、Microsoft Graph API を呼び出すための アクセストークン取得処理 を実装します。本構成では「HTTP with Entra ID」アクションは使用せず、HTTP アクションを使用して、 OAuth 2.0(委任されたアクセス許可)認証を行うように実装しています。
Entra ID に登録したアプリケーションの クライアント ID、クライアントシークレット、テナント ID を用いてトークンエンドポイントにリクエストを送り、取得したアクセストークンを後続処理で再利用できるよう、環境変数に格納します。


アクセストークン取得後は、Microsoft Graph の各エンドポイントに対して HTTP アクションを順に実行します。
・対象となる Teams 会議(オンライン会議)情報の取得
・会議に紐づく 文字起こし(Transcript)の一覧および詳細データの取得
・Meeting Insights API を利用した AI 生成の要約、アクションアイテム、トピックなどの会議インサイト情報の取得


これらの HTTP アクションでは、共通して Authorization ヘッダーに Bearer トークンを設定し、レスポンス形式は JSON としています。
取得したレスポンスについては、そのまま利用するのではなく、「JSON の解析」アクションを用いて構造化します。これにより、後続の処理で「要約テキストのみを取り出す」「アクションアイテムの配列をループ処理する」
といったデータ加工が容易になります。



具体的なアクションの名称やパラメーター指定については、以下の画像をご覧ください。
ppstt-flow21.png

これはあくまでもサンプルなので、例外処理などを割愛しています。必要に応じて追加してください。



動作確認

クラウドフローが正常に実行完了し、実行履歴に結果が表示されていれば完成です!!

ちなみに、APIから取得できるデータは、Teamsアプリで会議の要約を開いた場合に表示されるものと同じです。Teamsアプリからデータをダウンロードする場合と異なり、収集処理を自動化したり、取得したデータをそのまま加工させたりできるのが、APIを利用するメリットです。
ppstt-teams21.png




まとめ

本記事では、Meeting Insights APIを利用して、Microsoft Teams会議の文字起こしと、それをAIが分析した情報を取得する方法についてご紹介しました。Meeting Insights APIを活用すれば、Teams会議後の振り返りコストを劇的に削減できます。

また、今回取得した「構造化された分析データ」を、前回の記事でご紹介したプロンプトによるカスタマイズ処理の後続として繋げることで、より自社の業務に特化した議事録作成ツールへと昇華させることが可能です。

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