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記事公開日

FinOps Agentさわってみた

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この記事のポイント

2026年6月にプレビュー公開されたAWSマネージドのAIエージェント「AWS FinOps Agent」の検証記事です。筆者が以前構築した自作のBedrock AgentCore構成と比較しつつ、実際の導入手順や、独自の検証で見えたカスタマイズのコツ、Cost Optimization Hubと連携した具体的なコスト削減提案の実力を解説します。

  • プレビュー版の仕様と制約事項:
    公式リリース時点(2026年6月)において、プレビュー期間中は追加料金なしで利用可能です。エージェントの作成はUS East(us-east-1)リージョンに限定されていますが、全リージョンのコストデータ分析に対応しています。
  • Cost Optimization Hub連携による最適化提案:
    Cost Optimization HubおよびCompute Optimizerを有効化(データ反映まで最大24〜48時間)することで、エージェントが未使用のEBSボリュームやDynamoDBテーブルを自動検知します。対象リソースや月間削減見込み額だけでなく、「スナップショット取得後の削除」といった安全な手順まで提示されます。
  • 筆者の独自検証!コンテキストファイル活用のコツ:
    自社のアカウント対応表(コンテキストファイル)をアップロードするだけでは出力に反映されにくいという検証結果が得られました。プロンプト内で「エイリアス名・日本語・Tax除外で出して」と明示的に指示することで、期待通りの出力に調整できる実践的なノウハウを紹介しています。

はじめに

こんにちは。DXソリューション営業本部の岡田です。
前回のブログでは、Bedrock AgentCoreとClaude Sonnet 4を使い、毎週火曜08:00にSlackへ週次コストレポートを自動配信する仕組みについて紹介しました。

前回の記事で、今年の6月に「FinOps Agent」がプレビュー公開されたとご紹介しました。
AWSマネージドの「AWS FinOps Agent」を実際に触ってみて、自作構成と何が違うのかを比較検証します。

AWS FinOps Agentとは

AWS FinOps Agentは、コストに関する質問への回答、最適化機会の提示、コスト異常の自動調査、定期的なFinOpsワークフローの実行などを行う、AWSマネージドのAIエージェントです。SlackやJiraとの連携にも対応しています。

検証時点の前提(2026年6月16日現在)
・ステータスはプレビュー(仕様は今後変更の可能性あり)
・提供リージョンはUS East(バージニア北部 / us-east-1)のみ(対象のコストデータは全リージョン)
・プレビュー期間中は追加料金なし

自作構成は東京リージョンで動かしていましたが、FinOps Agentは現状us-east-1でのみ作成できます。

使ってみた

今回はエージェントをAWS Organizationsの管理(payer)アカウントで作成しました。管理アカウントで作成することで、組織配下のすべてのメンバーアカウントのコストを集計・分析できます。
以降で登場する「全アカウントのコスト」は、このAWS Organizations配下の全メンバーアカウントのコストを指します。

FinOps Agеntのコンソールを開く

まずAWSマネジメントコンソール上部の検索バーに「finops」と入力し、表示された「AWS FinOps Agent」を選択します。




⚠️ リージョンの確認を忘れずに
FinOps Agentは現状US East(バージニア北部 / us-east-1)でのみ作成できます。コンソール右上のリージョンが「バージニア北部」になっていることを必ず確認してください。東京リージョンのままだと作成できません。

エージェントの作成

FinOps Agentコンソールの「Create agent」から、ウィザードに沿ってエージェントを作成します。




IAMロールは「自動作成(推奨)」を選べば、必要な権限が付いたロールが自動で用意されるため、手動でのIAM設定は不要です。



全アカウントのコストを聞いてみる

作成したエージェントのWebアプリを開き、「全アカウントの先週コストを一覧表で出して」と質問してみます。



組織内の全アカウントのコストが一覧で返ってきました。

Here is last week's cost breakdown by account (2026-XX-XX to 2026-XX-XX, UnblendedCost):

| Account ID | Account Name | Cost (USD) |
| xxxxxxxxxxxx | アカウントA | $XX.XX |
| xxxxxxxxxxxx | アカウントB | $XX.XX |
| xxxxxxxxxxxx | アカウントC | $X.XX |
| xxxxxxxxxxxx | アカウントD | ~$0.00 |
| ... | ... | ... |
| TOTAL | | $XX.XX |

Key observations:
- アカウントA が全体の約65%を占めています。
- 残りのアカウントはほぼ $0 でした。

※金額・アカウント情報はマスキングしています。組織内の全アカウントが1回の質問で一覧表示されました。

コンテキストファイルで自社仕様に寄せる

FinOps Agentには「コンテキストファイル」という仕組みがあり、組織のアカウント対応表やレポート方針をアップロードして、エージェントに自社のことを理解させられます。今回はアカウントのエイリアス名・用途・コスト分析方針(Tax除外、日本語など)を記載したマークダウン(.md)ファイルをアップロードしました。

気づき: コンテキストファイルは「明示的に指示」して効く
アップロードしただけで同じ質問をしても、アカウント名はAWS Organizationsの正式名のまま・英語で返ってきました。
コンテキストファイルのエイリアス・日本語・Tax除外で出して」と明示的に指示すると、エイリアス名(例: kensyo-01)・日本語・Tax除外がきちんと反映されました。

▼ コンテキストなし(正式名・英語)

| Account Name | Account ID | Weekly Cost (USD) |
| aws-sss-sig-xxxxx-A | xxxxxxxxxxxx | $XX.XX |
| aws-sss-sig-xxxxx-B | xxxxxxxxxxxx | $XX.XX |
| ... | ... | ... |

▼ コンテキストあり+明示指示(エイリアス・日本語・Tax除外)

| アカウントID | エイリアス名 | 先週コスト (USD) |
| xxxxxxxxxxxx | アカウントA | $XX.XX |
| xxxxxxxxxxxx | アカウントB | $XX.XX |
| ... | ... | ... |

注: Tax除外済み。~$0.00 のアカウントは微小なクレジット調整等です。

※金額・アカウント情報はマスキングしています

Slackにも配信できる

Slackアプリをチャンネルに追加したうえでChannel IDを連携すると、FinOps Agentのタスク結果や定期レポートをSlackチャンネルに投稿できます。自作構成と同じく、Slackで結果を受け取れることを確認しました。




最適化提案を試す

FinOps Agentの目玉のひとつが、コスト削減の提案です。「コスト削減できる箇所を提案してください。推定削減額付きで教えてください。」と聞いてみます。

⚠️ 事前準備: Cost Optimization Hub の有効化が必要
最初に質問したときは「お使いのアカウントは Cost Optimization Hub に登録されていません」と案内され、提案は返ってきませんでした。
FinOps Agentの最適化提案は、裏側の AWS Cost Optimization Hub(および rightsizing 用の AWS Compute Optimizer)の有効化が前提です。いずれも利用は無料です。

Cost Optimization Hub を有効化する

AWSマネジメントコンソールの検索バーで「Cost Optimization Hub」を開き、オプトインページの「有効化(Enable)」をクリックします。
管理(payer)アカウントで有効化すると、AWS Organizations配下の全アカウントが対象になります。



AWS Compute Optimizerについても、AWSマネジメントコンソールの検索バーで「AWS Compute Optimizer」と検索し、有効化します。



反映までの時間
Cost Optimization Hub は有効化後、最大24時間ほどで削減機会が集約されます。rightsizing を担う Compute Optimizer は CloudWatch メトリクスを分析するため、推奨が出るまで1〜2日かかります。

もう一度、最適化提案を聞いてみる

有効化してしばらくすると、同じ質問で具体的な削減提案が返ってくるようになりました。

コスト最適化の提案
月間削減見込み合計: $XX.XX / 月($XXX.XX / 年)

■ 未使用EBSボリューム(6本) 削減: 約 $X.XX/月
| リソースID | リージョン | 月間削減額 |
| vol-xxxxxxxx | ap-northeast-1 | $X.XX |
| vol-xxxxxxxx | ap-northeast-1 | $X.XX |
| ... | ... | ... |
実装方法: 念のためスナップショットを取得 → デタッチ → 削除

■ 未使用DynamoDBテーブル(3本) 削減: 約 $X.XX/月
| テーブル名 | 月間削減額 |
| xxxx-WebService-xxxx | $X.XX |
| ... | ... |
※ CDK/CloudFormationデプロイの残骸と思われるテーブル。

すべて Low effort(低工数)かつ元に戻せる操作です。

※リソースID・テーブル名・金額はマスキングしています

単に削減額を出すだけでなく、対象リソースのID・リージョンの特定、削除前のスナップショット推奨といった安全な手順、さらに「CDKデプロイの残骸と思われる」といった推測まで添えてくれました。前回の自作構成では「停止中EC2の未使用EBS」を自前で実装していましたが、FinOps Agentは有効化するだけで、EBSだけでなくDynamoDBなど他サービスも横断的に検出してくれます。

自作構成との比較

観点 自作構成(前回) AWS FinOps Agent
提供形態 自作(AgentCore + boto3) AWSマネージド
リージョン 東京(ap-northeast-1) us-east-1のみ
自然言語でのコスト質問 ◯(Slack対話で可)
コスト異常の自動調査
最適化提案 ◯(自作の削減提案) ◯(Cost Optimization Hub連携)
レポートのカスタマイズ ◯(完全自由) △(コンテキスト+指示で寄せる)
Slack連携
Jira連携
構築・保守の手間 高(自前管理) 低(マネージド)

 ◯=対応 / ✕=非対応

まとめ

今回は、新しくリリースされたFinOps Agentについてご紹介いたしました。
エージェントを管理アカウントで作るだけで全アカウントのコストを把握でき、自然言語で質問でき、最適化提案やSlack連携まで揃っています。
AWSのマネージドサービスのため安全に利用することができます。
皆さんもぜひお試しください!

 

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