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【AWS re:Invent 2025】Kiro現地レポ:プロンプトからAWS環境・コードを自動生成する仕組み

DXソリューション営業本部の三浦です。
今回は、AWS re:Inventの展示ブースにて注目を集めていたAI開発ツール「Kiro」についてレポートします。
ブースの看板に掲げられた「From prompt to production with Kiro(プロンプトから本番環境へ)」という言葉通り、自然言語の指示からアプリケーションを構築するデモを体験し、Solution Architect(SA)の方にその裏側の仕組みについて詳しく伺ってきました。
「From prompt to production」Kiroとは?
Kiroは、チャット形式で要件を伝えることで、仕様の策定からコード生成までを行う開発支援AIツールです。
実際の画面では、「Vibe(まずはアイデアを出し合う)」モードと「Spec(コーディング前に設計と要件を固める)」モードが用意されており、段階を踏んで開発を進められるようになっていました。

要件定義からアーキテクチャ図まで自動生成
SAの方へのヒアリングによると、Kiroは単にコードを書くだけではありません。
システムが要件ファイルを読み込み、そこから設計を導き出すプロセスが採用されています 。実際にデモ画面では、ユーザーのブラウザ上のやり取りを通じて、以下のようなアーキテクチャ図が自動生成されていました。

さらに、VS Codeライクな画面では、具体的な「Technology Stack(技術構成)」も提案されています。
- Frontend: React, TypeScript, Tailwind CSS
- Backend: AWS Lambda, S3, API Gateway
- Data Processing: PapaParse, Apache Arrow
このように、具体的なライブラリ選定までAIが行っていることが確認できました。

技術スタック:MCPとAWS CDKの活用
技術的な裏側について質問したところ、興味深いキーワードが出てきました。
MCP(Model Context Protocol)によるツール連携
Kiroの最大の特徴の一つは、Anthropic社などが提唱するオープンスタンダード「MCP(Model Context Protocol)」への対応です。SAの方によると、通常のソフトウェア開発プロセスそのものにMCPが必須というわけではありませんが、Kiroではアーキテクチャ図の生成や、AWSリソース情報の取得といった高度なタスクにおいて、MCPサーバーを活用しています
インフラ構築はCDKで
クラウドインフラの構築については、AWS CDK(Cloud Development Kit)を使用することが想定されています。
AIがIaC(Infrastructure as Code)のコードまで生成してくれるため、再現性の高い環境構築が可能です。
実運用を見据えたテストとデプロイ戦略
「AIが作ったものをそのまま本番に出して良いのか?」という点についても、現場で議論が交わされていました。SAの方からのアドバイスおよびQAの要約は以下の通りです。
1. デプロイはパイプラインで
ツール自体を使って直接デプロイすることは推奨されていません。Kiroで「デプロイファイル(CDKなど)」を作成した上で、実際のデプロイ作業はCI/CDパイプライン上で行うべきだというアドバイスがありました 。
2. プロパティベーステストの導入
生成されたコードの品質を担保するため、一般的なユニットテストに加え、「プロパティベーステスト(Property-based tests)」の導入についても言及されていました。議論の中で具体的な実装手法までは言及されませんでしたが、ユニットテストを補完するより高度な検証手段として、その重要性が議論されていました。一般的にプロパティベーステストは、関数やメソッドに対して広範囲な入力パターンを自動生成し、AIが生成したロジックの正当性を網羅的に検証するアプローチとして有効です。
3. AIの制御(Steering Block)
AIの挙動を制御するために、デモでは『Generate Steering』といった操作でAIへの指示(インストラクション)ファイルを生成し、AIの回答の揺らぎを抑えて意図通りに制御(ステアリング)する機能として紹介されていました。
この辺りについては、正確な成果物の作成のために検証を重ねて方法論を確立していきたいと思います。
まとめ
今回のブース訪問を通じ、Kiroは単なるコード生成機能にとどまらず、インフラ構築やテスト戦略までを包括した強力なプラットフォームであると実感しました。
特に「プロンプトから本番環境へ」というコンセプトは、適切な運用ルールと方法論さえ確立できれば、非エンジニアであっても安全かつ効率的に、本格的なソフトウェアをスクラッチ開発できる可能性を秘めています。
QESでは、今回話題に上がった「AIの制御(Steering)」や「テスト手法」などのノウハウを蓄積し、検証を続けていく予定です。エンジニア・非エンジニアを問わず、誰もがアイデアを形にできる――そんな開発手法の確立を目指して、今後も実践的なTipsを発信していきたいと思います。
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