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EDR導入済み環境に「Halcyon」は必要か?既存のセキュリティ対策との共存と役割分担を徹底解説!

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はじめに

前回の記事では、次世代のランサムウェア対策製品であるHalcyon(ハルシオン)が持つ、暗号化されたデータの自動復旧機能について解説しました。



私たちがシステム構築の現場でお客様へセキュリティ基盤の最新化をご提案する際や、社内で新しい技術の検証を行う際、必ずと言っていいほど議論になるテーマがあります。
それは、「すでに端末での検知と対応を担うEDR製品を導入している環境において、さらに追加導入する技術的な必然性はあるのか」「パソコンやサーバー上で監視プログラム同士が競合し、業務の処理速度を低下させるリスクはないのか」という点です。


本記事では、この既存の対策との共存をテーマに据え、最新のサイバー攻撃の傾向と、防御の仕組みに基づく役割の違い、そして併用によって得られる実務的なメリットについて詳しく解説します。



本記事の要点

  • 既存対策の運用上の壁:EDRは広範囲な脅威の検知や事後調査に不可欠ですが、過剰な警告を防ぐための調整や、運用担当者による判断を必要とする仕組み上、数分で完了してしまうランサムウェアの暗号化に対して初動が間に合わないケースが増加しています。

  • 攻撃の高度化:最新の攻撃は、OSの中核部分の権限を奪い取って監視プログラム自体を意図的に停止させる手法など、既存の防御が突破されることを前提に組み上げられています。

  • Halcyonの役割:既存の仕組みと競合するものではなく、ランサムウェア特有の不審な動きの検知と、OS標準のバックアップ機能の保護、そして暗号鍵の取得による自律的な即時復旧に特化した、追加の防御層として機能します。




 

既存の対策におけるランサムウェア防御の技術的な壁

多くの企業環境で標準となっているEDRは、端末上のプログラムの動作、通信、ファイル操作などの膨大な記録を収集して分析し、悪意のあるプログラムの侵入を検知して遮断する強力な仕組みです。
しかし、ランサムウェアによる業務停止を防ぐという特定の目的に対しては、いくつかの構造的な課題が存在します。

暗号化の速度と対応時間のズレ

EDRの基本的な役割は、端末の脅威を検知し、対処し、調査することです。
正常な業務プログラムを誤って停止させる影響を最小限に抑えるため、EDRは警告を発するにとどめ、最終的なプログラムの強制終了やネットワークからの端末の切り離しは、セキュリティ監視チームの優先度判定や状況確認に委ねる設定で運用されることが一般的です。


しかし、ランサムウェアの暗号化処理は極めて高速です。
海外のセキュリティ研究機関が公開している分析データによれば、猛威を振るう一部のランサムウェアは、10万個のファイルを暗号化するのにわずか5分から6分しかかかりません。
攻撃者が数週間かけてシステムに潜伏し、監視の手が薄くなる深夜や休日に一斉に暗号化を開始した場合、人間が警告に気づいて調査を始める頃には、すでに致命的な被害が発生しているのが実情です。

既存の防御(EDR)を前提とした回避・無効化の手口

現在の攻撃者は、標的となる企業が高度なセキュリティ製品を導入していることをすでに想定しています。
そのため、悪意のあるプログラムをいきなり実行するのではなく、まずは監視の目を掻いくぐるための高度な戦術を用います。

代表的な手法の一つが、正規の制御プログラムの弱点を突く攻撃です。
これは、本来は安全とされてデジタル署名も付与されているハードウェア制御用プログラムなどが持つ弱点を悪用し、OSの中核部分に対する強い権限を奪い取る手口です。
これにより、一般のアプリケーションと同じ領域で動作するEDRの処理を強制的に終了させたり、無効化したりすることが可能になります。

また、Windowsに標準で搭載されているシステム管理用の正規のツールを悪用して、悪意のある命令を実行する攻撃も増加しています。
これはファイルとして保存されずに攻撃が進行するため、監視側からはシステム管理者が正規の操作を行っているように見え、検知をすり抜けて暗号化の命令を実行されてしまいます。



仕組みから見る役割分担と防御の空白地帯

既存の予防や検知の仕組みと、事後対策であるデータ復旧の間には、防御の手が届きにくい空白地帯が存在します。
攻撃者はシステムに侵入後、まず監視プログラムを無効化し、次に復旧を妨害するためにOS標準のバックアップ機能を破壊し、最後にデータを暗号化するという手順を踏みます。

この空白地帯を埋めるために設計されたのがHalcyonです。
既存のEDRとHalcyonは、監視の範囲と対応のアプローチが根本的に異なります。

EDRが広範囲の記録を収集して原因究明や汎用的な防御を提供するのに対し、Halcyonはランサムウェア特有の振る舞いのみに焦点を絞っています。
「RDR(Ransomware Detection and Recovery)」と呼ばれるように、「ランサムウェアの検知と復旧」に特化した防御アーキテクチャです。

特に重要なのは、Halcyonが他社のセキュリティ製品に対する妨害行為を監視する自己防衛の機能を有している点です。
攻撃者が監視プログラムを停止させようとしたり、復旧を阻むためにWindowsのバックアップ機能を意図的に削除しようとしたりする不審な動きを検知し、防御します。

さらに、人間の判断を待たずに暗号化の処理中にメモリ上から暗号鍵を自動的に取得して、暗号化されてしまったデータの自律的復旧を支援する機能も備えています。


比較項目 既存のEDR(汎用的な脅威検知) Halcyon(ランサムウェア特化型対策)
主な目的 幅広い脅威の検知と原因調査 ランサムウェアの防御とデータの即時復旧
監視の対象 マルウェア全般、不正な通信など ランサムウェア特有の不審な動き(暗号化、バックアップ削除など)
対応の仕組み 管理者の判断(調査・優先度判定)を必要とすることが多い 管理者の判断を待たず、自律的に脅威を阻止・ブロック
自己防衛機能 OSの強い権限を奪われると無効化されるリスクがある 他セキュリティ製品に対する妨害行為も監視し防御する
データ復旧 ネットワークからの切り離しによる被害拡大防止 OS標準バックアップの保護と、暗号鍵の自動取得による即時復旧支援




端末上での競合とシステム負荷の実態

複数の監視プログラムを同一のパソコンやサーバーに導入する場合、インフラ構築を担うエンジニアが最も懸念するのは、ファイル読み書き時の検査処理が重なり合って動作が停止することや、処理能力の枯渇による業務の遅延です。

結論から言えば、Halcyonは主要なセキュリティ製品と競合することなく共存できるように設計されています。
その理由は、検査のアプローチの違いにあります。

多くのウイルス対策ソフトやEDRは、ファイルが記憶装置に書き込まれたり実行されたりするたびに、過去の悪性ファイルの特徴をまとめた定義データとの照合や、詳細な構造検査を行います。
一方のHalcyonは、ファイルの中身そのものを常に検査するのではなく、記憶装置の暗号化に関わる特異な命令の呼び出しや、通常では発生し得ない高速なファイル変更処理、強い権限を奪おうとする試みといった、一連の不審な動きを特定の箇所で監視します。

そのため、プログラム自体が非常に軽量であり、処理能力やメモリの消費量が低く抑えられています。
実務においても、既存の監視ソフトの除外設定などを複雑に調整することなく、そのまま追加導入して多層的な防御を構築することが可能です。


比較項目 既存のEDR Halcyon
検査の方式 ファイルの読み書きや実行時に、過去の定義データとの照合や詳細な構造検査を実施 暗号化に関わる特異な命令や高速なファイル変更など、特定の振る舞いのみを監視
処理の対象 パソコンやサーバー上の広範なファイルとネットワーク通信 ランサムウェアの攻撃手順に関連する特定の動きに限定
システムへの負荷 常に広い範囲を監視するため、一定の処理能力やメモリを消費する 限定的な監視のためプログラムが軽量であり、処理能力の消費が少ない
他製品との共存 複数の同種製品を入れると競合やシステム停止のリスクが高い 検査方式が異なるため競合しにくく、そのまま追加導入が可能




まとめ:EDRとの共存で実現する次世代の対策と事業継続

本記事では、すでにEDRが導入されている環境において、ランサムウェアに特化した対策をさらに追加すべき技術的な理由と、その共存による効果について解説しました。

改めて要点を整理します。

  1. 既存対策の限界を認識する:EDRは広範囲な脅威からシステムを守るために不可欠な基盤ですが、人間の確認を前提とする運用や、監視プログラム自体を狙う高度な攻撃手法の増加により、高速化するランサムウェアの暗号化を完全に阻止することは構造的に困難になりつつあります。
  2. 役割を分担して防御の空白を埋める:汎用的な監視と事後調査をEDRに任せ、ランサムウェア特有の不審な動きの検知や、暗号化への自律的な対応、そしてバックアップの保護とデータの即時復旧等をHalcyonに任せることで、互いの弱点を補完し合う強固な防御網が構築できます。
  3. 実用的な多層防御の実現:ファイルの監視手法が異なるため、同一のパソコンやサーバーに導入しても処理能力の低下や競合といった悪影響を最小限に抑えられます。これにより、システム管理者の負担を増やすことなく、現実的で効果的な防御体制を実現できます。

セキュリティ対策において、「これを導入すればあらゆる攻撃を100%防げる」という特効薬は存在しません。
しかし、攻撃の手口が巧妙化・高速化する現在、万が一システムに侵入されたとしても、「いかに早く自動で復旧させ、ビジネスの停止時間を最小限に抑え込むか」という事業継続の視点がますます重要になっています。

システムの安定稼働と重要なデータの保護を両立するためにも、既存のセキュリティ運用体制を一度見直し、Halcyonによる新しい防御層の追加を検討してみてはいかがでしょうか。





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(弊社が協業している高千穂交易株式会社様の Halcyon製品資料となります)



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※本記事は2026年3月時点の情報を基に作成されています。最新の仕様は公式サイト等をご確認ください。



このブログで参照されている「Halcyon」はHalcyon Tech, Inc.の商標または登録商標です。
その他の会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。
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