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【検証】Geminiの「Gmailで下書きを作成」機能を利用したGemを作ってみた!

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こんにちは!DXソリューション営業本部の大和矢です。

前回のブログでは、誰でも簡単に高品質なGem(カスタムAI)を作れる「Gem Builder」をご紹介しました。

今回はその実践編として、Gem Builderを使って「Geminiの仕様を逆手に取った、業務効率化Gem」を作ってみたので、その過程と成果物をシェアします。

テーマは、「Gmail連携の最適化」です。

Geminiの「Gmailで下書きを作成」機能の落とし穴

Geminiには、生成した文章をそのままGmailに送れる「共有とエクスポート > Gmailで下書きを作成」という機能があります。


しかし、実際に使ってみると、こんな経験はありませんか?

「修正指示(例:もっと短くして)がメールの件名になってしまった…」
「AIの『承知しました。こちらが修正案です』という返事までメール本文に入ってしまった…」

実はこの機能、以下の仕様になっています。

  • 件名: ユーザーの「直前の入力」が自動で入る
  • 本文: AIの「直前の回答」が自動で入る

つまり、普通に対話していると、最後に「OK、ありがとう」と打てば件名が「OK、ありがとう」になり、AIが「どういたしまして」と返せば、それが本文になってしまうのです。
これでは結局、Gmailを開いてから下書きを修正する手間が発生します。

そこで今回は、「対話の中でメールを作り、最後にポチッと押すだけで、件名と本文が入るGem」を作りたいと思います。

Gem Builderに相談してみる

さっそく、前回作成したプロンプトエンジニアリングAI「Gem Builder」を呼び出します。
今回も、筆者の要望はかなりざっくりとしたものです。

Gem Builderへの入力(要望)

Geminiの「共有とエクスポート」で「Gmailで下書きを作成」という機能があるよね?
これを利用して、メールの下書きを効率的に作るカスタムGemにしたい。

仕様として、最後私が送信したチャットが「件名」に割り当てられ、それに対するGeminiからの回答がメール本文にエクスポートされるよね。
これを利用して、メールの内容が問題ないかの確認が済んだら、Geminiが「メール件名のみを送ってください。その後ボタンを押してね」と誘導するようなロジックにしたい。
Gemは最後に余計なことは言わず、メール本文のみを回答してくる仕様でお願い。

あと、最後の一歩手前でGemの方から「件名案」もいくつか提案してくれると嬉しい。

「仕様の裏をかいた複雑な挙動」を求めているため、自分でプロンプトを書くと「条件分岐」や「禁止事項」の設計が大変です。
しかし、Gem Builderは私の意図を即座に理解し、以下のようなシステムプロンプトを構築してくれました。

完成したGem:Gmail下書きメーカー

Gem Builderが出力してくれたプロンプトがこちらです。
これをコピーして、新しいGemの「カスタム指示」に貼り付けるだけで完成しました。

生成されたシステムプロンプト

あなたは、Google Geminiの機能「共有とエクスポート > Gmailで下書きを作成」を最大限に活用するために設計された、メール作成支援特化型AIです。

この機能の仕様である「ユーザーの直前の入力が件名になり、AIの直前の回答が本文になる」という特性を利用し、最終的にGmailへシームレスに移行できる状態を作り出すことがあなたのゴールです。

## 📋 全体プロセス
対話は必ず以下のフェーズ順で進行してください。

### Phase 1: ヒアリングとドラフト作成
1.  ユーザーから「誰に」「どんな用件で」送るかを聞き出します。
2.  **社内向けの丁寧語(です・ます調)**でメール本文のドラフトを作成し、提示します。
    * この段階では、ユーザーと会話しながら内容を修正・推敲してください。
    * 宛名(〇〇さん)、挨拶、本文、結びを含めた標準的な構成にします。
3.  ユーザーに対して「この内容で問題ないですか?」と確認をとります。

### Phase 2: 件名提案と誘導(重要)
ユーザーから本文の内容について「OK」「これでいい」と承認が得られたら、以下の手順を実行してください。

1.  確定した本文の内容に基づき、**最適な「件名案」を2〜3個作成**します。(例:【相談】〇〇について、〇〇の件、等)
2.  以下のフォーマットで出力し、ユーザーのアクションを促します。

> **【準備完了】**
> 本文を確定しました。最後に件名を決めましょう。
>
> **▼ 件名の提案**
> 1. `{件名案1}`
> 2. `{件名案2}`
>
> **【次のアクション】**
> 上記の案から選んでコピー(または好きな件名を入力)し、**「件名のみ」**をメッセージ送信してください。
> その直後に、Gmailへのエクスポート用データを生成します。

### Phase 3: 最終出力(The Export Trigger)
ユーザーから「件名(テキスト)」が送られてきたら、**余計な挨拶や解説は一切省き、確定済みの「メール本文」のみ**を出力してください。

* **禁止事項:** 「承知しました」「以下の内容です」「```markdown」などの装飾やメタ発言は一切禁止です。これらが含まれると、Gmailの本文にゴミとして混入してしまいます。
* **出力内容:** 宛名から始まり、署名(あれば)で終わるテキストデータのみ。

---

## 🛡️ 制約事項 (Guardrails)
* **ハルシネーション対策:**
    * ユーザーから提供されていない日付、場所、人名を勝手に創作しないでください。不明な点は必ず質問してください。
* **重要:出力の浄化**
    * Phase 3(最後)の出力は、そのままメール本文として貼り付けられることを想定し、純粋な本文テキスト以外は絶対に出力しないでください。

検証:実際に使ってみた

では、この「Gmail下書きメーカー」の実力を試してみます。
テーマは「GeminiでGmailの下書きを作成する検証メール」というものです。

1. ドラフト作成〜確認

まずは通常通り、用件を伝えてメールを作ってもらいます。
ここでGem Builderが組み込んだ「Phase 1: ヒアリングとドラフト作成」が機能します。


内容に問題がないので「問題ない」と伝えます。

2. 件名の提案と「誘導」

ここからがこのGemの真骨頂です。
「問題ない」を受け取ったGemは、「Phase 2: 件名提案と誘導」に移行します。


Gemが「件名の案」を出してくれました。
そして指示通り、私はその中から一つを選び、「件名だけ」を送信します。

3. 最終出力とエクスポート

私が件名を送信すると、Gemは「Phase 3: 最終出力」を実行します。
ここでは「承知しました」などの返事は一切なく、「メール本文のみ」が返ってきます。


この状態で、画面下の共有アイコンから「Gmailで下書きを作成」をクリックすると……

画面左下に、「メールの下書きを作成しています...」と表示され、1,2秒経つと「新しいメールを作成しました Gmailを開く」という表示に切り替わりました。



実際に、「Gmailを開く」をクリックしてみると……


ご覧ください。
件名には「私が最後に入力したテキスト」が、本文には「Gemが最後に出力したテキスト」が綺麗に入った状態でGmailが起動しました!
署名が必要であれば署名を挿入し、あとは宛先を自分で設定して、確認(送信)ボタンを押すだけです。

まとめ:Gem Builderで「ツールとしてのAI」を作る

今回は、Geminiの仕様をハックするために、Gem Builderを使って専用のGemを作成しました。

ポイントは以下の2点です。

  1. フェーズ管理: 「作成」「提案」「出力」という手順をGemに厳守させたこと。
  2. 出力制御: 最後のターンで「余計なことを言わせない」という強い制約をかけたこと。

このような複雑な制御指示を、自然言語のチャットだけで構築できるのが「Gem Builder」の強みです。
「こんな動きをさせたいけど、プロンプトの書き方がわからない」という時は、まずGem Builderに相談してみてください。

あなたの業務フローにぴったりハマる、専用のツールがあっという間に完成します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Geminiの拡張機能についての小ネタを紹介している、下記ブログもぜひご覧ください。

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※このブログで参照されている、GoogleやGeminiは、米国およびその他の国におけるGoogleの商標または登録商標です。

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