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【AI 初心者向け】Gemを作るための「Gem Builder」を作ってみた

この記事のポイント
この記事では、Geminiの「Gem」機能を使いこなすためのメタツール「Gem Builder」の作成方法を紹介します。
- 課題解決:プロンプトエンジニアリングの知識がなくても、対話だけで高品質な「カスタム指示」を作成可能にします。
- 仕組み:「役割・背景・制約・出力形式」の4要素を自動的に定義するプロンプトを配布。
- 効果検証:会議の雑談からタスクのみを抽出する実験で、通常のGeminiと比較して圧倒的な精度向上を確認。
こんにちは!DXソリューション営業本部の大和矢です。
みなさん、Google Geminiの「Gem」機能、使っていますか?
Gemというのは、特定のタスクに特化したカスタムAIを作れる便利な機能です。
でも、こんな悩みはありませんか?
「Gemを作ってはみたけど、結局普通のチャットとあまり変わらない…」
「カスタム指示に何を入れたらいいのか分からない」
AIから質の高い回答を引き出すには、本来ユーザー側が工夫して指示を出す必要があります。
しかし、一般ユーザーが毎回高度な指示を書くのは難しいです。
そこで役立つのがGemの「カスタム指示」機能です。
プロンプトエンジニアリングの要素をあらかじめGemに「指示」として埋め込んでおくことで、ユーザーは簡単な入力をするだけで、精度の高い回答を得られるようになります。
ですが、今度はその「指示」をどう設計するかというハードルが立ちはだかります。
そこで今回は、「対話するだけで、実用的なカスタム指示をサポートしてくれるGem(名付けてGem Builder)」を作成しました。
Gemとは?
Gemini Advanced(有料プラン)などで利用できるカスタム機能です。
あらかじめ「あなたは〇〇の専門家です」「出力は表形式にしてください」といった設定(カスタム指示)をしておくことで、毎回長い説明をしなくても、特定のタスクを効率よくこなしてくれるようになります。
システムプロンプト(カスタム指示)の重要性
Gemを作成する際、最も重要なのが設定画面にある「カスタム指示」です。
他の人がどういったGemを作成しているかは分かりませんが、多くの人はここで「あなたは親切なアシスタントです」や「議事録を要約して」くらいの短い文章を入れてしまうのではないかと考えています。
実は、カスタム指示に、以下のような要素を加えると、ある程度Gemをコントロールすることができるようになります。
- Role(役割定義): 誰になりきるか
- Context(背景): 何のためのタスクか
- Constraints(制約事項): やってはいけないこと(ハルシネーション対策など)
- Output Format(出力形式): JSON、Markdown表、コードブロックなどの指定
しかしながら、これらを人間が手打ちで設計するのは大変です。
だからこそ、筆者は「Gemのための指示書を書くGem」が欲しいと考えました。
Gem Builderの作り方
今回作成した「Gem Builder」は、チャット形式でこちらの要望をヒアリングし、最終的に「コピペするだけで使える、実用的なカスタム指示」を出力してくれるツールです。
作り方は簡単です。
Geminiを開いて、左メニューにある「Gemを表示」を押下し、「+Gemを作成」をクリックします。

そして以下画像のように、名前や説明を入力し、システムプロンプトを「カスタム指示」欄に貼り付け、保存するだけです。

Gem Builder用プロンプト
以下のコードブロックをコピーして、Gemの「カスタム指示」欄に設定してください。
解説:なぜこのプロンプトで高品質なGemが作れるのか?
先ほど「システムプロンプトの重要性」で挙げた4つの要素(Role, Context, Constraints, Output Format)。
実は、このGem Builder用プロンプトの中に、それらを「強制的に引き出し、適用させる仕掛け」が組み込まれています。
1. Role(役割)と 2. Context(背景)の担保
プロンプト内の ### Step 1: ヒアリング をご覧ください。
ここでGem側からユーザーに対して「Gemの役割 (Persona)」や「対象読者 (Target)」を質問するように指示しています。
これにより、ユーザーが意識していなくても、対話の中で自然と「役割」と「背景」が定義されていきます。
3. Constraints(制約事項)の自動適用
プロンプト内の ## 🚫 生成するプロンプトの必須要件 の ルール6 にご注目ください。
ここには、「ハルシネーション(嘘)を禁止する」「根拠を明示させる」といった記述を必ず含めることと明記されています。
つまり、ユーザーが「ハルシネーション対策をして」と言わなくても、自動的に安全装置(ガードレール)が組み込まれる仕組みになっています。
4. Output Format(出力形式)の徹底
同じく ## 🚫 生成するプロンプトの必須要件 の ルール1〜3 で、「構造化」や「フォーマット指定」を義務付けています。
これにより、人間が書くと崩れがちなフォーマットも、エンジニアが書いたような綺麗な構造で出力されるようになります。
このように、Gem Builderは単に質問に答えているだけでなく、裏側で「良いプロンプトの4要素」を自動的に満たすように設計されているのです。
これだけで、あなたのGemの中に「専属プロンプトエンジニア」が誕生します。
Gem Builderを使って「タスク抽出Gem」を作ってみた
実際にこのGem Builderの実力を試すために、「会議の雑談だらけの文字起こしから、タスクだけを抜き出すGem」を作ってみました。
タスク抽出Gemを作成するにあたり、Gem Builderに対して、以下のようにかなり雑な指示を出しました。
ちなみに、Gem Builderの使用方法は、左メニューから「Gem Builder」を選択し、右側の入力ボックスに質問を投げるだけです。
「会議の議事録とか文字起こしを入れたら、そこからタスクだけを綺麗に抜き出してくれるGemを作りたいんです。
雑談とか挨拶は全部無視してほしいです。
あと、出力は見やすいように『表形式』にして、項目は『担当者』『タスク内容』『期限』『優先度』だけにしてください。
期限が決まってないときは『未定』って勝手に入れてほしいし、余計な会話は一切せず、表だけポンと出してほしいです。」
すると、Gem Builderは私の意図を汲み取り、以下のような構造化されたカスタム指示を生成してくれました。
カスタム指示だけでなく、Gemの作成時に必要なGemの名前、Gemの説明文も生成してくれています。
これをコピペして、新しいGem(Task Extractor for Minutes)を作成しました。

検証:ノープロンプト vs カスタムGem
では、「ただのGemini」と、Gem Builderで作った「タスク抽出Gem」で、どれくらい出力が変わるのか比較してみます。
入力するのは、5人が参加するカオスな会議の文字起こしです。
① 何も設定していない普通のGeminiの場合
入力:「以下の会議の文字起こしからタスクをまとめて(文字起こしペースト)」
結果
- 特徴:
タスクだけでなく、「決定事項」や「補足情報」まで親切にまとめてくれています。
また、人ごとにグループ化されており、文章として読むには分かりやすいです。 - 弱点:
情報が多すぎて、「で、結局どれが緊急なの?」が一目でわかりません。
また、このままExcelに貼り付けたり、チケット管理ツール(Jira/Backlogなど)に登録するには整形が必要です。
② Gem Builderで作った「タスク抽出Gem」の場合
入力:ケース①と同様
結果
- 特徴:
挨拶や決定事項などの「ノイズ」を完全に遮断し、純粋なタスク(ToDo)のみを抽出しています。 - 強み:
「優先度」が自動判定され、**「Markdownの表形式」**で出力されている点です。 - メリット:
この表をコピーしてExcelやNotionに貼り付けるだけで、タスク管理台帳が1秒で完成します。
比較結果
| 比較項目 | ① 普通のGemini | ② Gem Builder製Gem |
|---|---|---|
| 出力形式 | 文章と箇条書きが混在 | Markdown表形式のみ |
| 情報の粒度 | 決定事項・補足も含む | タスク(ToDo)のみ抽出 |
| 優先度判定 | なし | あり(高・中・低) |
普通のGeminiも優秀ですが、あくまで「会話」が得意です。
一方で、Gem Builderで作ったGemは、「非構造化データ(雑多な会話)」を「構造化データ(表)」に強制変換しています。
まとめ
今回は、カスタム指示生成Gem「Gem Builder」を作成し、その効果を検証してみました。
指示内容をしっかりと設計することで、Gemは「ただのチャットボット」から「実業務をこなす強力なツール」へと進化します。
しかし、その指示をゼロから自分で書く必要はありません。
今回紹介したGem Builderを使えば、「こんなGemが欲しい」と話しかけるだけで、誰でも一定品質以上のGemが作れるようになります。
メタプロンプトも進化させていく
もちろん、今回紹介したGem Builderのプロンプト(メタプロンプト)自体も、これで完成ではありません。
「もっと厳密なルールを設けたい」「英語の指示を出力させたい」など、用途に合わせて改良していくことで、より高精度なGemが生み出せるようになります。
実は、Gem BuilderのプロンプトもGeminiに作成させ、少しだけ手を加えただけのものです。
まずはこのGem Builderをベースにして、ぜひ皆さんの業務に合った形にカスタマイズしてみてください。
続編!Gem Builderを使ってPrompt Builderを作ってみた!
Gem Builderを使って作成した、「やりたいことを伝えるだけで、プロンプトを作ってくれるコンサルタントGem」を紹介するブログを公開しました。
こちらも、ぜひご覧ください。
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