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Power Apps作例:リモートワーク環境でブレインストーミングするためのツールを作ってみた

こんにちは。
システムソリューション営業本部の吾妻です。
先進技術チームという、今年発足した技術検証を通じて新規案件テーマを開拓していくようなチームに加わることになったのですが、(タイミングの悪いことに)週5日フルリモートワークの体制になってしまい、チームメンバー全員で会議室に集まって検証したいテーマやブログ記事のテーマに関するアイディアを討議することが難しくなってしまいました。
リモート会議のためにTeamsやZoomのようなチャットツールを利用することもできますが、
どうしても対面での会話よりもテンポが遅くなってしまうため、盛り上がりに欠けてしまう気がします。
そこで、Power Appsを利用した「アイディア投稿アプリ」と「アイディア集計アプリ」を作って、時間的・距離的制約なくブレインストーミングできないか試行してみることにしました。2フェーズに分割することで、効率低下を抑えられると良いのですが…。
方針案
アプリを作っていく上での方針として、以下のような内容を決めました。
<投稿側>
①チームメンバーが、日頃の思いつきを投稿アプリに嵐のごとく投稿していく
この時、担当者として自分を指定することも、空欄にしておくこともできる
②週1回程度の頻度でリモート会議を開く
集計アプリの画面を共有しながら自由に討議し、既存アイディアから新しいアイディアを思いついたら手元のノートPCで投稿アプリに各々で投稿する
③隔週か月1回程度の頻度で投稿されたアイディアを棚卸しして、実現可能性が低いようなテーマは優先度を落とす
④チームメンバー以外もアイディアを投稿できる
この時、担当者としてチームメンバーを指名することもできるが、チームメンバーは必ずしも指名を受ける必要はない(あくまで自発性重視なので)
<取捨選択側>
・チームメンバーがアイディアを投稿する際に自分から手を挙げる
・他のメンバーが投稿したアイディアや、チーム会でマージされたアイディアで、面白いと感じたものがあれば担当者に自分を加えることができる(自分以外を追加することはできない⇒無理強いは禁止)
・チーム外に有識者がいる場合は協力を依頼するが、担当者(主体)はあくまでもチームメンバー
・ブレインストーミングは否定しないのがお約束なので、削除機能は付けない
Common Data Serviceの準備
今回のアプリではCommon Data Serviceをデータ格納先として利用するため、エンティティを用意しておきます。SharePointのカスタムリストやExcel Onlineを格納先としても良いのですが、今回はアイディアが5000件超は集まることを期待して(!)、レコード数に関する制約の少ないCDSを利用することにしました。
エンティティは2つ、「Idea(アイディア)」と「Genre(分野 / 技術領域)」を用意します(名前は適宜変更してください)。
- Idea
- Title …アイディアのタイトルを格納するテキスト型
- Description …内容を格納するテキスト領域
- Genre …分野を選択するための参照型(Genreエンティティとリレーションを貼る)
- Investigator …担当者を選択する複数選択オプションセット
- Priority …優先度を格納する整数型(投稿フェーズには指定せず、集計フェーズで指定する)
- Reference …参考文献を格納するテキスト領域
- Genre
- Title …分野名を予め定義しておくためのテキスト型
投稿アプリの実装
Common Data Serviceでエンティティに定義した列に対応した入力フォームを用意します。
アプリ単体での処理内容としては難しいことは行っていません。ボタンが押されたらフォームをCDSへ投稿する程度の関数だけを記述しています。
「検証担当者」については、Office365ユーザー接続を利用して、アプリにサインインしているのが先進技術チームのメンバーだったら、自分自身しか選択できないように制御しています。
投稿内容が送信されると、通知でお礼が表示され、次のアイディアをすぐに投稿できるようにフォームをリセットします。
集計アプリの実装
集計アプリに関しては、エンティティで定義したすべての列を表示してしまうと一覧性に欠けるので最低限の項目のみ表示するようにしています。
右上の検索ボックスに文字を入力すると、タイトルと説明から検索することが可能です。
担当者で検索してしまうと自分自身のものしか見なくなりそうなので、敢えて検索対象から外しました。

表中のそれぞれの行を押すと、詳細表示画面に遷移します。

まとめ
フルリモートワーク導入に伴い急遽取り組んだ、Power Appsを利用したリモートブレインストーミングのためのアプリ開発について、簡単にご紹介しました。
思い立ったらすぐに実装できる機動性の高さや、個人の好みが分かれるUIの微調整が容易といった、Power Appsのメリットを再確認できたと思います。
今回のアプリの場合では、構想とデザインに1時間、実装に1時間といったスピード感で作成しました(ブログにまとめてから公開されるまでの時間の方が多く掛かりました)。
しばらく運用してみて、効果を検証してブログ記事にまとめたいと思います。
また、技術検証で実装したPower Appsアプリや、社内で運用しているPower Appsアプリについて、今後もご紹介できればと考えています。
このブログで参照されている、Microsoft、SharePoint、PowerApps、その他のマイクロソフト製品およびサービスは、