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Azure AI FoundryでOpenAIのgpt-oss-120bを試してみた!

こんにちは!DXソリューション営業本部の大和矢です。
2025年8月5日(米国時間)、OpenAIは2つの新しいオープンウェイトモデルgpt-oss-20b
とgpt-oss-120b
をリリースしました。
そして、Azure AI Foundryのモデルカタログに、OpenAIのオープンソースモデルが加わりました!
今回はこちらの「gpt-oss-120b」モデルと、同等の性能を持つ「o4-mini 」モデルを比較して、使ってみた感想をレポートします。
gpt-oss-120bモデルのデプロイ手順
早速、gpt-oss-120bモデルをデプロイしていきます。
Azure AI Foundryの「モデルカタログ」にて、「oss」と検索します。
すると、「gpt-oss-120b」モデルがヒットしたので、こちらを押下します。
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gpt-oss-120bモデルの詳細画面に遷移するので、「このモデルを使用する」を押下します。
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gpt-oss-120bの展開画面が表示されるので、デフォルトの設定で「デプロイ」を押下します。
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デプロイが完了すると、プレイグラウンドなどでモデルを選択できるようになります。
デプロイ選択欄に、先ほど作成したモデルが表示されていることを確認できました。
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これから投げかけていく質問は、チャットプレイグラウンドの右下のテキストボックスに入力していきます。
今回は、システムプロンプトやパラメータはデフォルトのままにしておきます。
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gpt-oss-120bモデルとo4-miniモデルの比較
デプロイが完了し、gpt-oss-120bモデルが使えるようになったので、o4-miniモデルと比較していきます。
比較する理由としては、gpt-oss-120bモデルはo4-miniモデルと同等の能力を持つとされているからです。
以下はSam AltmanのXでのポストです。
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パラメータは両者デフォルトのままで、同じ値に設定しております。
両者には同じ質問を2つ投げかけてみます。
1つ目は、相手からの魅力的な提案を、角が立たないように断るという、繊細なニュアンスが求められる質問です。
2つ目は「文脈理解の持続力」や「情報の整理能力」を測る質問です。
質問1
交流会で名刺交換した他社の営業担当者から、自社製品の導入を提案する面談のアポイント依頼が来た。
現時点では導入の予定がないため、丁寧にお断りするメールを作成してください。
ただし、今後の良好な関係は維持したいというニュアンスも伝えてください。
回答:gpt-oss-120bモデル
**件名:** 【ご提案の件】面談のご依頼について
株式会社○○
営業部 △△様
平素より大変お世話になっております。
株式会社□□ 営業部の□□です。
先日は交流会にて貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
また、自社製品のご提案に関しまして、面談のご依頼をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
誠に恐縮ではございますが、現時点におきましては導入の検討スケジュールが未定であり、直近での面談設定は見送らせていただきたく存じます。
貴社のご提案内容は大変興味深く拝見いたしましたので、今後、導入の機会が生まれました際にはぜひ改めてご相談させていただきたく思っております。
引き続き、業界情報や最新動向等で情報交換させていただければ幸いです。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎ、面談の件についてご連絡申し上げます。
ご不明点やご質問等がございましたら、遠慮なくお知らせください。
---
株式会社□□
営業部 □□
(氏名)
TEL: 03-xxxx-xxxx E‑mail: example@company.co.jp
---
回答:o4-miniモデル
件名:ご提案面談のご依頼について(御礼とご回答)
〇〇株式会社
営業部 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
△△株式会社の□□です。
先日は交流会にて貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
また、このたびは貴社製品の導入に関するご提案および面談のご依頼を賜り、重ねて御礼申し上げます。
せっかくのご提案ではございますが、現時点では導入の予定がなく、面談の機会を設けることが難しい状況です。
ご期待に沿えず誠に申し訳ございません。
なお、今後の業務の中でご提案内容が適合しそうな機会がございましたら、ぜひご連絡させていただきたく存じます。
引き続き、変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
まずは、取り急ぎご連絡申し上げます。
敬具
――――――――――――
△△株式会社 □□
(ご自身のお名前)
電話番号:
メールアドレス:
――――――――――――
質問1の回答比較
gpt-oss-120bは、単に断るだけでなく、「このコミュニケーションを通じて、相手との関係をどう維持・発展させるか」というビジネス的な意図まで汲み取っているように見えます。
「ご提案内容は大変興味深く拝見いたしました」という一言や、「情報交換させていただければ」という提案は、相手に「脈が完全になくなったわけではない」と感じさせ、将来の良好な関係に繋げるための高度な配慮です。
一方でo4-miniは、簡潔で要点が分かりやすく、伝統的なビジネスメールの形式に近い、ストレートな表現が多いです。
無駄がなく、迅速な返信という印象を与えます。
どちらも甲乙つけがたい素晴らしい品質ですが、ビジネスの現場でより「気が利いている」と感じられるのは、gpt-oss-120bのメールかもしれません。
質問2
回答:gpt-oss-120bモデル
回答:o4-miniモデル
質問2の回答比較
両モデルとも高い精度を発揮し、ほぼ完璧に指示通りの情報を抽出しました。
長文の文脈を最後まで維持し、散在する情報を正確に集約・整理する能力をどちらのモデルも示しています。
ただし、出力された要約(`key_takeaway`)の表現に、それぞれのモデルの個性がわずかに見られます。
gpt-oss-120bは、テキストのキーワードを的確に繋ぎ合わせた、簡潔で分かりやすい要約です。
一方でo4-miniは、元の文章の表現を活かしつつ、自然で流れるような文章で要約する傾向があります。
文脈を広く捉え、より人間が書いたようなサマリーを生成します。
gpt-oss-120bは「要点をまとめる」のが得意で、o4-miniは「文章の自然さや文脈の維持する」のが得意というキャラクターの違いが見えます。
料金比較
両モデルの利用料金を比較してみましょう。以下の表は、Azureの従量課金における100万トークンあたりの料金(米ドル)を比較したものです。
※o4-miniは米国東部リージョンにおけるo4-mini 2025-04-16 Globalの料金を参考にしています。
モデル名 | 入力 | 出力 |
---|---|---|
gpt-oss-120b | $0.15 | $0.6 |
o4-mini | $1.1 | $4.4 |
gpt-oss-120bモデルはo4-miniモデルに比べて、利用料金が大幅に安価であると言えます。
具体的には、100万トークンあたりのコストにおいて、gpt-oss-120bはo4-miniの入力で約7分の1、出力で約7.3分の1の料金に設定されています。
モデル比較から見えたこと
今回の比較で衝撃的だったのは、gpt-oss-120bが単に「安い」だけでなく、タスクによってはo4-miniに匹敵するほどの「価値」を提供した点です。約7倍の価格差を踏まえると、両モデルの個性は以下のように再定義できます。
- gpt-oss-120b:
圧倒的な低コストに加え、期待を超える創造性や提案といった付加価値をもたらします。
また、o4-miniとほぼ同等の能力を持つにもかかわらず、単一の80GB GPU環境におさまるのが特徴で、運用コストの面でも優位性があります。
コストを抑えたい処理はもちろん、新しいアイデアが欲しい場面でも適しており、投資対効果が極めて高いと言えます。 - o4-mini:
gpt-oss-120bに比べてコストは高いものの、その分の信頼性と正確性を保証します。
より質が求められる場面で頼りになります。
まとめ
今回の検証は、「最も高価なモデルが常に最良の選択とは限らない」という事実を示唆しています。
AIを選ぶ基準は、単純な性能の優劣ではなく、「そのタスクで求める価値は何か」そして「その価値に対して支払えるコストはいくらか」という視点も重要になっていくことでしょう。
筆者は最近AI関連のブログを執筆しているので、今後もAI検証ブログをお届けいたします。ぜひご覧ください。
また別記事で、「Amazon Bedrock×OpenAI」のブログを公開しております。
OpenAI gpt-ossモデルについて、本ブログより詳しく紹介しておりますので、こちらもぜひご覧ください。
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