
お客様の事業概要
株式会社ムサシノ広告社(以下ムサシノ広告社)は、首都圏のJRや私鉄各線を中心に、電車内広告や駅貼り広告を取り扱っている広告代理店である。同社の設立は昭和5年と古く、創業78年の歴史を誇る老舗代理店として、広告主から高い評価を得ている。
最近ではターゲットの行動特性をデータベース化した広告マーケティングによって最も効果的となるプロモーション方法の提案も行っているほか、雑誌広告や新聞広告、ラジオやテレビコマーシャルなどの取り扱いを生かし、投資効果の高いクロスメディア戦略の提案を得意としている。なお、2008年現在の社員数は約70名で、本社は東京の市ヶ谷(新宿区)である。
導入前後の比較
QESを選んだ3つのポイント
マイグレーションの豊富な実績と高い専門性
インフラ構築にさまざまなノウハウを有するQESは、OSプラットフォームのマイグレーションにおいてもさまざまな事例に対応してきた経験を持つ。また、ムサシノ広告社が必要としたドメイン移行やサーバーアプリケーション移行についても実績が多数ある。
仮想環境を活用した事前検証の取組み
QESはすべてのマイグレーションプロジェクトにおいて検証用の仮想環境を構築し、ユーザーの本番環境を再現して精度の高い検証を行うように努めている。このような取り組みによってトラブルフリーかつ短期間で顧客環境の移行を実現する点が評価された。
Microsoftゴールドパートナーとしてのサポート力と技術力
ムサシノ広告社が導入を決定した2008年3月の時点ではWindows Server 2008は国内リリースからわずか一か月を経ただけであって、市場にノウハウが存在していなかった。
マイグレーション中のトラブルも懸念されたが、QESはMicrosoftのゴールドパートナーであり、技術的なサポートが十分得られるであろう点が安心感につながった。
導入前の問題点
交通広告を扱うムサシノ広告社では、売り上げや仕入れの管理、経理事務、稟議書の管理などを目的として、1994年からWindowsベースのITシステムを導入し活用している。
システムの規模はおよそ8台のサーバーと70台ほどのクライントで構成される。サーバーOSは、Windows NTとWindows 2000を経て、本事例の前の時点ではWindows Server 2003がメインに使われていた。
同社では、当初の構築時の経緯から、社内ドメインと社外ドメインを同じドメイン名に設定して運用していた。しかしこのような設定は一般的に推奨されない構成で、社内DNSと社外DNSの設定内容に不整合が生じた場合に問題が発生する。また、同様の理由によって、外部からのコネクションの際にSSL(Secure Socket Layer)を利用することができなかった。
このため社内リソースに対する社外アクセスを禁止するという措置を採らざるを得ない状況になっていて、将来のモバイル利用の足かせになることが予想されていた。
同社が抱えていたもうひとつの課題がサーバーOSやサーバーアプリケーション製品のライフサイクルである。同社は2008年春に過半数のサーバーの更新を予定していたが、検討中に新OSであるWindows Server 2008がリリースされたため、サーバーの更新と合わせてOSの切り替えを行うべきかどうか判断を迫られていた。
OSのライフサイクル上はWindows Server2008が望ましいが、リリース後間もないOSに移行するには、十分な実績と体制を持つベンダーのサポートが不可欠であった。
また、Exchange ServerやSQL Serverに代表されるサーバーアプリケーションについても今後の新バージョンのリリースを考えると、適当なタイミングで最新の環境に揃えていく必要があった。
以上のような背景を踏まえて、ムサシノ広告社は、サーバーマイグレーションやドメイン移行に豊富な経験を有するQESをシステムベンダーとして選定した。
そして、「初物」だったWindows Server 2008の導入には安定性や信頼性の面で懸念があったものの、将来的にいつかはWindows Server 2008に切り替える必要があるのならば早めに行ったほうが適切との判断に至り、国内ではその時点でほとんど事例がなかったWindows Server 2008へのマイグレーションプロジェクトがスタートした。
導入後の改善点
インフラのマイグレーションに多くの実績を有するQESにとっても、Windows Server 2008を扱うのはムサシノ広告社のプロジェクトが初めてであった。一方で、QESはMicrosoftのゴールドパートナーであり、さまざまなサポート情報をMicrosoftから直接得られるほか、Windows Server 2008トラックの資格保有者(マイクロソフト認定ITプロフェッショナル
QESではマイグレーションを行う場合は検証用の仮想環境を自社内に構築し、顧客環境を再現して、マイグレーションのリハーサルを行っている。今回のムサシノ広告社のプロジェクトにおいても、同社の既存環境を再現するとともに、新しいドメイン名に対応したドメインコントローラを仮想的に配置した。その仮想環境上でムサシノ広告社の要件であった社内ドメイン名変更とOSマイグレーションを検証するとともに、Active Directory、Exchange Server、MOSS(SharePoint Server)、SQL Server、ISA Serverなどのサーバーアプリケーションについても、移行と検証を順次行っていった。
プロジェクトは2008年3月頃から要件定義などを開始し、同年6月中旬から仮想環境下での検証に着手した。Windows Serverや各サーバーアプリケーションのマイグレーションにはMicrosoftが提供しているツール類を用いるとともに、一部はQES社内でスクリプトを作成して自動化を図った。検証作業は7月上旬には完了し、その後の週末二日間を使って、ムサシノ広告社の実環境の移行を完了した。
なお実際には、Active DirectoryとExchange Serverは直接移行ができなかったため、二段階のステップを踏んでいる(下図参照)。
ムサシノ広告社のITシステムは、先ほども述べたように、1994年からの積み上げで構築されてきた。その過程で、社内ドメインを社外ドメインと同じに設定したまま運用が続けられてきたことになる。今回のWindows Server 2008へのマイグレーションとドメイン名の移行を契機に、Microsoftが推奨する設定環境に合わせることができた。
また、従来課題となっていた社外からの社内リソースへのアクセスも、ドメインの移行によって実現できる条件が整った。同社では今後モバイル利用も検討していきたいとのことだ。
Windows Server 2008の移行時および移行後ともにとくにトラブルは発生しなかった。Windows Server 2008のカーネルはWindows VistaをベースとしてSP1が適用された状態で出荷されていることもあって、安定性に関する懸念は杞憂であった。
Windows Server 2008のマイグレーションと合わせて、Exchange Serverを2003から2007に、SQLServerを2000から2005に上げるなど、サーバーアプリケーションも最新バージョンへの統一が図られた。OSとアプリケーションの両方とも製品のライフサイクルの初期段階にあることを考えると、長期にわたってMicrosoftのサポートが受けられることになる。
今後QESに期待すること

(中)野村 憲治 様
(右)弊社担当 原田 (左)弊社担当 山本
今回のマイグレーションプロジェクトについて、ムサシノ広告社でITシステムを担当する野村 憲治氏は、「マイグレーションに伴うほとんどの作業をQESにお任せできたため、当社としては負荷が少なくとても楽でした。実際の環境で試行を繰り返すことなく仮想環境だけで事前検証が完了した点も高く評価しています。週末を挟んで社内の移行を完了しましたが、社内ユーザーは誰も新しい環境になったことに気が付いていません」と述べている。
同社では将来的に「Windows Server 2008が持つHyper-V(仮想環境)機能やNAP(ネットワークアクセス保護)機能の活用も検討していきたい」という。「QESにはそういった新機能を活用した提案を期待しています」と結んだ。






